神尾真由子/ジャン・ワン/キム・ソヌク「スーパー・トリオ」
5月31日(日)兵庫県立芸術文化センターへ。
神尾真由子(日本)、ジャン・ワン(中国)、キム・ソヌク(韓国、2006年リーズ国際ピアノ・コンクールで史上最年少かつアジア人として初めて優勝)によるピアノ・トリオを聴く。日本だけではなく、それぞれの母国、中国と韓国でもツアーを行うという。
- ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番「幽霊」
- チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」
- ブラームス:ピアノ三重奏曲第1番 第2楽章(アンコール)
ベートーヴェンはチョロが朗々と歌い、気持ちいい。ピアノは軽やか。僕はチャイコフスキー国際コンクール優勝直後から神尾の演奏を何度も聴いているが、当初は内燃する火の玉のようなエネルギーの噴出をコントロールするのに苦労しているという印象を受けた。しかし現在の彼女は肩の力が抜け、柔軟でしとやかな音楽を聴かせてくれるようになった。成熟が感じられた。
神尾は2013年にロシア人ピアニストのミロスラフ・クルティシェフ(神尾と同年のチャイコフスキー国際コンクールで最高位入賞)と結婚し、今年出産した。そのことと彼女の演奏スタイルの変化とは決して無関係でないだろう。
「幽霊」というニックネームの要因となった第2楽章冒頭はノンヴィブラートで奏でられ、幽玄の雰囲気が醸し出された。
神尾の十八番、チャイコフスキーは雄弁でしなやか。文句なし!繊細なppが印象的だった。
アンコールのブラームスも素晴らしく、中身の濃いアンサンブルを堪能。是非このコンビでレコーディングも実現して貰いたい。音楽家による親善大使たちの今後の活躍を期待する。
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