映画「サンドラの週末」とデュヴィヴィエの「舞踏会の手帳」
評価:B+
「サンドラの週末」は2014年ベルギー・フランス・イタリアの合作。監督はカンヌ国際映画祭で2度パルム・ドール(最高賞)を受賞した経験があるダルデンヌ兄弟。マリオン・コティヤールが本作でヨーロッパ映画賞、ニューヨーク映画批評家協会賞の主演女優賞を受賞。アカデミー主演女優賞にもノミネートされた。映画公式サイトはこちら。
コティヤールは「エディット・ピアフ 〜愛の讃歌〜」(2007)でフランス人女優としてはシモーヌ・シニョレに続いて史上2人目、49年振りの主演賞受賞者となった。また外国語映画(英語以外の言語の映画)での受賞は史上5人目である。
その後「パブリック・エネミーズ」「NINE」「インセプション」「ミッドナイト・イン・パリ」「ダークナイト ライジング」と立て続けにハリウッド映画に出演。一躍トップ・スターになった。
「サンドラの週末」は第1にコティヤールの演技を堪能するための映画である。パーフェクト!彼女がフランス語を喋っているのを久しぶりに聴いた。サンドラはうつ病で休職中。そして薬物依存症である。いかにもアカデミー会員が好む役柄だ(因みに今年受賞したのは「アリスのままで」のジュリアン・ムーア。若年性アルツハイマー病の役である)。
彼女が働く工場(不景気で経費削減を狙っている)の労働者たちが迫られる選択は、①サンドラの復職②サンドラを解雇し、その代わりに全員がボーナスを貰う
このボーナスが1,000ユーロということなのだが、調べてみると14万円くらい。そりゃ僕も同じ立場に追い込まれたら、サンドラは可哀想だけれど臨時収入は欲しいしと悩むわな。二者択一とは酷というものですぜ。雇用者の責任転嫁だ。
(以下ネタバレあり)
想定外の結末。しかし、物語の最初と最後を比べるとサンドラは確実に一歩前進している。いい映画だ。ヒロインが沢山の人々を訪ね歩くというプロットと、苦い結末という点で僕はジュリアン・デュヴィヴィエ監督のフランス映画「舞踏会の手帳」(1937)のことを想い出した。
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