« 映画「サンドラの週末」とデュヴィヴィエの「舞踏会の手帳」 | トップページ | 庄司紗矢香 × ジャンルカ・カシオーリ »

2015年6月 9日 (火)

大フィル事務局への苦言/エリシュカのスターバト・マーテル

6月8日(月)フェスティバルホールへ。

チェコ出身のラドミル・エリシュカ/大阪フィルハーモニー交響楽団定期演奏会を聴く。

  • ドヴォルザーク:スターバト・マーテル

独唱は半田美和子(ソプラノ)、手嶋眞佐子(アルト)、望月哲也(テノール)、青山貴(バス)、そして大阪フィルハーモニー合唱団。

大阪フィルの定期演奏会を聴くようになって8年位になる。個人会員として招待状を貰い、演奏会当日に会場で座席券と引き換える。招待状には「座席は選べません」と書いてあるが、つい最近までは「2階席サイドブロック」など希望を言えば、大体リクエストに応えてくれた。ところが今回、「座席の指定は出来ません」の一点張り。2階席を希望したのにもかかわらず、けんもほろろな対応で1階席券を渡された。怒り心頭に発した。

事務局に申し上げたい。建前と、実際の運用は違うでしょう?誰だって好みの場所というのはあるし、特にフェスティバルホールの1階は(音が天井に拡散して)音響が悪いから嫌なんだ。ピンポイントで座席指定をしているのではないのだし、ある程度融通を利かせてくれてもいいのでは?原理原則を押し通すなんて頭が硬すぎる。コンサート会場に足を運び、日頃から大フィルを支援している人間に対して余りにも礼を失してはいないだろうか?

大阪市はこの度、ふるさと寄附金のメニューのひとつとして「なにわの芸術応援募金」という制度を立ち上げた。僕は是非大フィルに寄付しようと考えていたのだが、今回の一件で心が折れた。そこで決めた。次回の定期で事務局の対応をもう一度見る。同じような心ない仕打ちを受けるのなら寄付は取りやめだ。大阪市音楽団か関西フィル、あるいは文楽協会を指定する。選ばれるかどうかはあなた達次第だ。

さて、演奏の方だが極めて充実した内容だった。第1曲から静謐な響きで特に女声合唱に透明感があった。一方、曲によっては武骨で獰猛な表情も見せ、かつて僕がエリシュカの「わが祖国」を肉食系と評したことを想い出した(その時の記事はこちら)。また日本人のみの独唱陣が健闘していたことも特筆に値する。

ドヴォルザークは長女を生後2日で亡くし、その死後に「スターバト・マーテル」第1〜4曲と第8〜10曲を作曲。2年後次女が生後11ヶ月に誤飲で逝き、翌月3歳の長男が天然痘で亡くなった。残る3曲はその後に完成したという。終曲は痛切な慟哭で開始されるが、やがて浄化に至り、「アーメン」という祈りで締めくくられる。ドヴォルザーク協会会長を務めたこともあるエリシュカの真骨頂をじっくり堪能させて貰った。

なお、今回は演奏中に飴の包み紙を開けるクシャクシャという音などノイズが目立ち、定期会員(老人たち)のマナーが非常に悪かった。事務局さん、もっと積極的にマナー向上のための啓蒙活動をしてくださいね。

| |

« 映画「サンドラの週末」とデュヴィヴィエの「舞踏会の手帳」 | トップページ | 庄司紗矢香 × ジャンルカ・カシオーリ »

クラシックの悦楽」カテゴリの記事

コメント

ご無沙汰しています。
私も席のこと同感です。
私は2日目公演でマイシートで聴きますが、1日目も時々招待券で行っています。ザ・シンフォニーホールの時は多少の希望は聞いてくれました、もちろん細かい希望はしてません。
今年度に入ってから2階を希望したところ、同じようにザックリ断られ1階の端っこでガッカリ、しかも満席のような状態ではなくて2階にも席は沢山残っていたのに。。。。
あつかましい注文を言って文句タラタラの人も見たことがあるので、煩わしいから統一したのかなとも思いましたが、1階か2階か位の希望を聞くことがそんな労力を要するとも思えないのです。
選べないなら、と行くのをやめたとしたら、確実にその分空席が増えるわけで、1人でも多くのaudienceを得て会場をもり立てる方が演奏者のモチベーションにも繋がると思うのです。

投稿: jupiter_mimi | 2015年6月13日 (土) 21時44分

お久しぶりです。

お陰様でこの記事は大反響で、あっという間に人気記事ランキング・トップ10入りを果たしました。

希望にある程度寄り添うというのは顧客満足を得るための基本だと思うのです。事務局が現在の態度を改めなけれれば支持してくれる人は確実に減るし、個人会員/寄付金減少は結局、自分たちの首を締めることになるのですよね。

日本(旧・大阪)センチュリー響との合併問題は昔から燻ぶっていて、まず2006年に関西経済連合会の秋山喜久会長(当時)から提言がありました。橋下市長になってからも合併を打診され、大フィルは断っています。そしてつい先日には井上ミッキーが「大阪にプロのオケは1つでいい」とぶちあげて、大いに話題となりましした。遅かれ早かれその流れは避けられないというのが僕の見解です。ただ1つというのは極端なので、やはり3つくらいが妥当な線なんじゃないでしょうか。

投稿: 雅哉 | 2015年6月13日 (土) 22時26分

jupiterさん、雅哉さん、ご無沙汰しています。

私は今季から大フィルの会員を降りましたが、その大きな理由の一つとして、フェスに移ってからの大フィル事務局の融通の利かなさがあったことは否めません。まさに、お二方がおかきになっていたような、そして大植時代、シンフォニー時代にはなかったような経験を私もしたのですね。

実際にその帰結としてこのようなことが起こっていることを、大フィルは知っているのでしょうかね。

投稿: ぐすたふ | 2015年6月26日 (金) 15時12分

ぐすたふさん、大変お久しぶりです。何年ぶりでしょう?ぐすたふさんやjupiterさんがブログを書かれなくなって久しく、大フィル演奏会のレビューアーが減って寂しい限りです。好敵手がいないと書いていて張り合いないですしね。

さて先日、ロト/読売日本交響楽団の大阪定期を聴きました。「東京にはこんなにレベルの高いオケが4つも5つもあるのか!日本人すげぇ」と唖然としました。弦楽器なら大フィルも互角の勝負だと思いますが、管楽器の実力が違いすぎます。大阪に下手くそなプロ・オケが4つあっても仕方ないなと改めて痛感しました。在阪オケ強化のためにも統廃合は絶対すべきです。つまり「もう、大フィルなんかいらない。ぶっ壊してしまえ!」これが僕の結論です。

投稿: 雅哉 | 2015年6月27日 (土) 21時20分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 大フィル事務局への苦言/エリシュカのスターバト・マーテル:

« 映画「サンドラの週末」とデュヴィヴィエの「舞踏会の手帳」 | トップページ | 庄司紗矢香 × ジャンルカ・カシオーリ »