庄司紗矢香 × ジャンルカ・カシオーリ
6月4日(木)いずみホールへ。庄司紗矢香(ヴァイオリン)、ジャンルカ・カシオーリ(ピアノ)のデュオ・リサイタル。
- モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第35番 ト長調
- ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第6番 イ長調
- ストラヴィンスキー:イタリア組曲
- ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト長調
- シュニトケ:祝賀ロンド(アンコール)
全て長調。さらにベートーヴェン以外の3曲はト長調で開始される。
モーツァルトはト長調の序奏とト短調の主部から成り、明暗の対比が鮮明。
以前から感じていたことなのだが、僕はどうも庄司のベートーヴェンがピンと来ない。ぼんやりした印象しか残らない。彼女自身、何をしたいのだかよく判っていないのでは?
で低調な前半が終わり、後半は見違えるような演奏が展開された。
イタリアの作曲家ペルゴレージへのオマージュであるイタリア組曲は優雅かつ典雅。
ラヴェルは濃密な演奏。ラヴェルは一般にフランス人と認識されているが、スペインと国境を接するバスク地方に生まれた。母はバスク人で父はスイス人。だからこのソナタにもスペインの情熱、滾(たぎ)る血潮が流れている。また第2楽章は「ブルース」でヴァイオリンはバンジョー風にかき鳴らされ、ジャズへの憧れを歌う。本作が完成されたのは1927年。ラヴェルはこの年にアメリカに演奏旅行に出かけ、彼の強い希望によりニューヨークでガーシュウィンに会っている。
カシオーリはイタリアのトリノ生まれ。その持ち前の明るさが特にプログラム後半作品の色合い(南ヨーロッパの風光)に似合っていた。
アンコール、シュニトケの「祝賀ロンド」は1973年にボロディン弦楽四重奏団の第一ヴァイオリン奏者であるロスティスラフ・ドゥビンスキー50歳の誕生日を祝うために書かれたもの。当時の「社会主義リアリズム」を標榜するソ連芸術家連盟の面々をあざ笑うかのような擬装古典様式。最後が不気味だった。面白い!
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