デスノート THE MUSICAL
5月15日(金)、「デスノート THE MUSICAL」を梅田芸術劇場で鑑賞。公式サイトはこちら。
欧米の芸術・文化はキリスト教(一神教)に根ざして発展してきた。しかし16世紀にコペルニクスが地動説を提唱し、19世紀にはダーウィンの進化論が登場。さらに20世紀になると理論物理学者スティーヴン・ホーキング博士らが宇宙の始まりと終わりを数式で示せると発表し、《万物の創造主=神》は存在しないという結論にそろそろ達そうとしている。そこで日本のマンガやアニメに登場したのが「この世に神様が存在しないんだったら、人間が神になればいいんじゃね?」という発想である。例えば「攻殻機動隊」は草薙素子がインターネット上の《神》になる話だし、TV版「魔法少女 まどか☆マギカ」は最後、まどかが《神》になる(劇場版・新編ではそれに叛逆したほむらが《悪魔》になって、まどかを取り戻す=ミルトン「失楽園」)。八百万神を信仰し、一神教とは無縁だった日本人からこういうアイディアが出てきたことは非常に興味深い。アジアには《生き仏》という観念も古来からあるしね。「デスノート」もその潮流の中から生まれた。主人公の夜神月は《神》になろうとし、最後に死神の気まぐれからその野望を阻まれる。
キャストは浦井健治(夜神月)、小池徹平(L)、唯月ふうか(弥海砂)、濱田めぐみ(死神レム)、吉田鋼太郎(死神リューク)、鹿賀丈史(夜神総一郎)ほか。
スタッフは作曲:フランク・ワイルドホーン(「ジキル&ハイド」「スカーレット・ピンパーネル」「NEVER SAY GOODBY」)、作詞:ジャック・マーフィ(「ルドルフ〜ザ・ラスト・キス〜」「モンテ・クリスト伯」)、脚本:アイヴァン・メンチェル(「ボニー&クライド」)、演出:栗山民也。
映画「デスノート」で主人公の父親役を演じた鹿賀丈史が、ミュージカル版でも同役で出演しているというのが面白い。僕はヴィブラート過剰で演歌的な鹿賀の歌唱が大嫌いだが、見た目がピッタリなので不満はない。浦井の歌は見事の一言だし、意外にも小池徹平のLがはまり役だった。唯月ふうかはちっちゃくって可愛らしく、歌唱力があって感情がこもっている。ミュージカルは初めてという吉田鋼太郎の歌には難があるが、演技力でその欠点を見事にカヴァーした。濱田めぐみもいい。
フランク・ワイルドホーンの楽曲は迫力があり、神がかっている。彼の最高傑作ではないだろうか?少なくとも僕は「ジキル」や「スカピン」より好き。ラストがレクイエムみたいになるのも印象的だった。シンプルな舞台装置ながら場面転換がスピーディな栗山の演出も◯。英語版も製作されているようなので、このままブロードウェイに行けたらいいね。ぼくはそれに値する完成度だと確信している。なにより「デスノート」は話が良く出来ている。凝っていて、とにかく最後まで飽きさせない。特に夜神月とLがテニスで戦いながら激しく歌う場面には痺れたね。格好良かった。あと男役が映えるので、これを宝塚歌劇団が上演しても似合うんじゃないかな。
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