冨田勲 来阪!「源氏物語幻想交響絵巻」
4月3日(金)いずみホールへ。
藤岡幸夫/関西フィルハーモニー管弦楽団で
- 冨田勲:源氏物語幻想交響絵巻 《2014年改訂版》
を聴く。京ことばの朗読と歌とびわ:坂田美子、琵琶:久保田晶子、箏(二十五弦箏):滝田美智子、龍笛・篠笛:西川浩平、篳篥:稲葉明徳、篳篥・笙:西原祐二、シンセサイザー:氏家克典
演奏の合間に作曲家と指揮者によるトーク(解説)あり。
第1部 第1曲「序の曲」(光源氏の誕生)冒頭は笛の鋭い響きに魅了された。竹林を通り抜ける風の音、桜吹雪。鳥の声も聴こえてくる。
第5曲「庭園」は和風モルダウといった感じ。箏の音色が心地よい。
第6曲「管弦のお遊び」は冨田勲が作曲したNHK「新日本紀行」のテーマを彷彿とさせた。
第9曲「美しい童女 若紫」は華麗な箏コンチェルト。鳥 vs. 鳥の歌合戦も愉しい。
第10曲「葵の上」は箏と琵琶の二重奏で始まり、それにシンセサイザーが絡む。
第11曲「六条の御息所」は嵐の予感(光源氏の正妻;葵の上 vs. 愛人;六条の御息所)。
第13曲「生霊」は照明を落とし怪談風。サラウンド音響の声とシンセサイザーの効果が絶大。
終曲(第2部 第9曲)はNHK大河ドラマ「新・平家物語」のテーマが使用されている。武家社会の到来を告げる勇ましい音楽で幕となった。
途中、”明珍火箸”(みょうちんひばし)がぶつかり合う音が、なんとも言えない摩訶不思議な雰囲気を醸し出す。
平均律による西洋の音楽(オーケストラ)と、中国伝来の三分損益法(≒ピタゴラス音律)による雅楽(異文化)の邂逅。そこにはなんの違和感もなく、美しい調和(ハーモニー)があった。
また京言葉の朗読が単なるナレーションでなく、音楽の一部として融和していることにも感銘を受けた。武満徹が作曲した、少女の語り手とオーケストラのための「系図 ―若い人たちのための音楽詩―( Family Tree )」のことを僕は想い出した。これは日本人独特の感性なのかも知れない。
雅(みやび)で儚く、もののあはれを感じさせる世界をたっぷり堪能した。是非また聴きたい。
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