ブロードウェイ・ミュージカル「タイタニック」
4月1日(水)シアター・ドラマシティへ。ミュージカル「タイタニック」大阪公演初日を観劇。
本作は1997年にブロードウェイで初演され、その年のトニー賞ではミュージカル作品賞、脚本賞、楽曲賞、美術(装置デザイン)賞、編曲賞の5部門を受賞した。
台本はピーター・ストーン、作曲は「ファントム」「NINE」のモーリー・イェストン。今回の上演は2013年にロンドンで上演されたトム・サザーランドによる新演出版。公式サイトはこちら。
ブロードウェイのオリジナル・プロダクションは一等客室と二等客室、三等客室それぞれの甲板が大掛かりな機構の中で上下するという巨大な装置が目玉のスペクタクル作品だったが、新演出版はあっけないほどシンプルな装置。出演者もオリジナルの30人が今回は22人に。ブロードウェイ版でカットされていたデュエット曲が復活したり、内容も見直しが施されている。
配役はアンドリュース(設計士):加藤和樹、イスメイ(オーナー):鈴木綜馬、機関士:藤岡正明、三等航海士:戸井勝海、ジム・ファレル(三等客):古川雄大、通信士:上口耕平、アリス・ビーン(二等客):シルビア・グラブ、アイダ・ストラウス(一等客):安寿ミラ、イシドール・ストラウス:佐山陽規、船長:光枝明彦ほか。元劇団四季(鈴木、光枝)、元宝塚(安寿)、元テニスの王子様(加藤、古川)、元マリウス@レ・ミゼ組(藤岡、戸井)など中々豪華キャストである。
正直、台本の出来は良くないと想った。群像劇で主人公がいない、いわゆる「グランド・ホテル形式」なんだけれど、その手法が古臭いんだよね。「タワーリング・インフェルノ」とか「大空港」「ポセイドン・アドベンチャー」など1970年代のパニック映画を想い出した。モーリー・イェストンはそのものズバリ「グランド・ホテル」もミュージカル化しているので、こういうのが好みなんだろう。
しかしイェストンの音楽は実に素晴らしい。特にタイタニック号が沈み始めて、救命ボートで恋人や家族が離れ離れになっていく場面の切実でダイナミックなアンサンブル(重唱)には心打たれた。
客席も船室の一部と見立てた演出は悪くなく、出演者が何度も通路を行き来するのは間近で役者が見れるので愉しい。ただもうちょっと凝った、豪華なセットでこの作品を味わいたかったという気も、一方ではするのである。まぁ巨大で複雑な舞台機構だと、(初演時の「ミス・サイゴン」みたいに)大阪公演は実現しなかっただろうけれど。
再演があるならまた是非観たい。
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