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2015年4月

「アナと雪の女王/エルサのサプライズ」と実写版「シンデレラ」成功の秘密

「アナと雪の女王/エルサのサプライズ」評価:B+

「シンデレラ」前座の短編。ミュージカル・ナンバーの新曲(曲調が本編と変えてある)もあり、十分愉しめる。新キャラ:小さな雪だるまの“スノーギース”は可愛いし、大満足。

「シンデレラ」評価:A

Cinderellaposter

監督のケネス・ブラナーはイギリスで「ローレンス・オリビエの再来」と言われ、シェイクスピア俳優としても有名。RADA(王立演劇学校)を首席で卒業した後、23歳の時にロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに参加している。映画監督としても「ヘンリー五世」「から騒ぎ」「ハムレット」「恋の骨折り損」「お気に召すまま」などシェイクスピア作品を数多く手がけ、その多くで主演も兼任している(オリヴァー・パーカー監督「オセロ」ではイアーゴを演じた)。

シンデレラ役のリリー・ジェームズは英国生まれで、舞台「かもめ」や「オセロ」の出演経験もある。また2016年にブラナーが演出する「ロミオとジュリエット」で「シンデレラ」の王子役リチャード・マッデン(スコットランド出身)と再び共演することも決まっている。

意地悪な継母役を演じたケイト・ブランシェットが素晴らしい。アカデミー賞を2度受賞した大女優であり、母国オーストラリアでは1994-5年に舞台「ハムレット」でジェフリー・ラッシュと共演し、オフィーリアを演じている。映画ではエリザベス1世を演じているし、誇り高く威厳がある。

またフェアリー・ゴッドマザー(妖精のおばあさん)をヘレナ・ボナム=カーター(イギリス・ロンドン出身)が実に愉しそうに演じている。エンディング・クレジットで「ビビディバビディブ」を歌っているのも嬉しい(ミュージカル映画「スウィーニー・トッド」でも歌を披露している)。ちなみに彼女もフランコ・ゼッフィレッリ監督の「ハムレット」(1990)でオフィーリアを演じている。

衣装デザインを担当したのはイギリス・ロンドン出身のサンディ・パウエル。「恋におちたシェイクスピア」「アビエイター」「ヴィクトリア女王 世紀の愛」で3度アカデミー賞を受賞している。「シンデレラ」が4度目の受賞となるのはほぼ間違いない。

つまり本作はスタッフ・キャストにほとんどアメリカ人がおらず、イギリス人やシェイクスピア俳優で固めているのだ。それ故に登場人物たちはクィーンズ・イングリッシュを喋り、非常に格調高く気品に満ちた作品に仕上がっている。特に舞踏会場面の絢爛豪華さは息を呑むほど。舞踏会シーンで真っ先に想い出すのは貴族の末裔でもあったルキノ・ヴィスコンティ監督の「山猫」だが、本作は「山猫」を超えたのではないか?とすら感じられた。

「シンデレラ」は誰もが物語の顛末を知っている古典であるが、ケネス・ブラナーはシェイクスピア作品に臨む時と同様のアプローチでこれを仕上げた(「ハムレット」や「ロミオとジュリエット」のプロットを知らずに観劇する人は皆無と言って良いだろう)。その方法論は大正解であり、彼に委ねたディズニーに先見の明があったのである。

また美しいガラスの靴はクリスタルで有名なスワロフスキーが製作している(スワロフスキーは2004年の映画「オペラ座の怪人」でシャンデリアを製作)。

音楽のパトリック・ドイルは「ヘンリー五世」以降、長年に渡りケネス・ブラナーとタッグを組んできた。「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」では精彩を欠いたが、今回はスマッシュ・ヒット。特にワルツが印象的だった。

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伝説の初代バルジャン、コルム・ウィルキンソン初来日!- Broadway and Beyond Japan

4月25日(土)梅田芸術劇場へ。

Colm

ミュージカル「レ・ミゼラブル」ジャン・バルジャン役のオリジナル・キャストとして余りにも有名なコルム・ウィルキンソン(70歳)の初来日コンサートを聴く。映画版「レ・ミゼ」では司教を演じた。

またウエストエンドでファントム役を、ブロードウェイで「レ・ミゼ」ジャベール役を演じるアール・カーペンターや、カナダで「レ・ミゼ」ファンティーヌ役を演じたスーザン・ギルモア、そして宝塚歌劇の「ロミオとジュリエット」でジュリエットを演じた則松亜海らが参加。

プログラム前半

  • 「オペラ座の怪人」Music of the Night(コルム)
  • All I Ask of You(アール&亜海)
  • テネシー・ワルツ〜Folsom Prison Blues(コルム、ギター片手に)
  • 「レ・ミゼラブル」夢やぶれて(スーザン)
  • 「ミス・サイゴン」ブイ・ドイ(アール)
  • 「エビータ」アルゼンチンよ、泣かないで(亜海)
  • 朝日のあたる家(コルム、バックコーラス;スーザン&アール)
    〜ニューオリンズを襲ったハリケーン・カトリーナの被災者に捧ぐ〜
  • ダニー・ボーイ(アイルランド民謡)(コルム)
  • 「ジキル&ハイド」This is the Moment(コルム)

プログラム後半

  • 「ラ・マンチャの男」ラ・マンチャの男〜見果てぬ夢(コルム)
  • 「チェス」アンセム(コルム、スーザン&アール)
  • ABBA : The Winner Takes It All(スーザン)
  • 「レ・ミゼラブル」Stars(アール)
  • 「アナと雪の女王」Let It Go(亜海、英語歌唱)
  • レナード・コーエン:ハレルヤ(コルム、スーザン&アール)
  • Mama Don't Allow(コルム)
  • Get Back - She's Leaving Home - Hey Jude
    ザ・ビートルズ・トリビュート(コルム、スーザン&アール)
  • J. レノン:Imagine 〜 T. パクストン:Peace Will Come
    (コルム、スーザン&アール)
  • 「レ・ミゼラブル」Bring Him Home(コルム)

コルムはアイルランド出身。だからダニー・ボーイは当然としても他にビートルズあり、アメリカのカントリー・ミュージックありとバラエティに富んだプログラム。特に「ママがギターを弾くことを、許してくれないんだ!」と歌うMama Don't Allowなんかノリノリで、意外な一面を見せてくれた。

コルムは1990年の「ジキル&ハイド」コンセプト・アルバム(ハイライト盤)でThis is the Momentを歌っている。因みにこのミュージカルは同年テキサス州ヒューストンで初演、数々のトライアル(試演)を経てブロードウェイに上陸したのは1997年のことである。また彼は「オペラ座の怪人」カナダ(トロント)公演のオリジナル・キャストでもある。「オペラ座の怪人」のロンドン初演は1986年であるが、実はアンドリュー・ロイド=ウェバーが1985年に行った関係者向けのワークショップで、コルムがファントムを演じていた(上演されたのは1幕のみ)。つまりMusic of the Nightを世界で初めて歌ったのは彼だったのだ。ウェバーはウエストエンド公演でも彼の登板を望んだが、既に「レ・ミゼ」出演が決まっていたために叶わなかったという。また1972年に「ジーザス・クライスト・スーパースター」ダブリン公演でユダを演じており、その頃から作詞家のティム・ライスとは旧知の仲で「チェス」のアンセムを歌ってみないか?とティムから声を掛けられたそう。

「オペラ座の怪人」25周年記念コンサートでファントム役に抜擢されたラミン・カリムルーは次のように語っている。

12歳の時、コルム・ウィルキンソンが主演する『オペラ座の怪人』を学校行事で観て、「僕もいつかファントムになる」と決めました。コルムの歌声に魂をつかまれ、楽屋口に「どうしたらあなたのように歌えるのですか?」と聞きに行ったら、ロックバンドを組んでいただけで特に訓練を受けたことはない、と。そうか、と思って僕もロックバンドを結成しました。
コルムがやったことはすべてやった、それが僕の歩いてきた道なんです。

コルムは現在70歳のおじいちゃんだが、未だに高い声が出るので驚かされる。むしろ低音よりも高音に張りがあり、伸びる。「チェス」は誇り高く、品があった。

アール・カーペンターは甘く、いい声。「ミス・サイゴン」なんかさすがの上手さ。

スーザン・ギルモアの「夢やぶれて」は余り感心しなかった。コルムも出演した「レ・ミゼラブル」10周年記念コンサートでファンティーヌを歌ったルーシー・ヘイシャルや映画版のアン・ハサウェイの方が断然好き。でもABBAのThe Winner Takes It Allは凛とした歌唱で、凄くよかった。

ジョン・レノンの「イマジン」で盛り上がり、出演者全員がお辞儀をして舞台袖に引っ込む。鳴り止まない拍手。やがてコルムひとりが戻ってきた。な、何と「レ・ミゼラブル」で軍服を着たジャン・バルジャンの姿で!!!聴衆は熱狂し、会場が興奮の坩堝(るつぼ)と化したことは言うまでもない。コルムのために作曲されたBring Him Home(彼を帰して)。慈愛に満ちた神の声。一生忘れられない想い出となった。

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ABの呪縛 あるいは (大阪4大オーケストラの饗演)

タイトルはアカデミー作品賞・監督賞を受賞した「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」風にしてみた。

Photo

4月22日(水)フェスティバルホールへ。なんと満席(客席数2,700)。

  • 黛敏郎:バレエ音楽「BUGAKU(舞楽)」
    藤岡幸夫/関西フィルハーモニー管弦楽団
  • サン=サーンス:交響曲 第3番「オルガン付き」
    飯森範親/日本センチュリー交響楽団
  • ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」
    外山雄三/大阪交響楽団
  • ベートーヴェン:交響曲第7番
    井上道義/大阪フィルハーモニー交響楽団

18時半開演でその20分前から4人の指揮者によるプレトークあり(司会者抜き)。最初この画期的な(前代未聞の)企画が持ち上がった時、井上がブラームスの交響曲全曲演奏を提案したら藤岡と飯森が「絶対イヤ!」と反対したそう。いや、今回のプログラム、4曲中サン=サーンス以外の3曲が舞踏音楽(ダンス・ミュージック)というのも統一性があるし、中々個性的でいい。また飯森が井上に対して「ミッキー先生」と呼んでいるのが面白かった。ちなみに外山は来月84歳になる。老いてなお、背筋が伸びて矍鑠としている。

トップバッターの藤岡が選んだ黛は和の響きが魅力的。西洋楽器のみで見事に笙や篳篥のハーモニーが聴こえてくる。堂々としてパワフルな演奏だった。このコンビで先日聴いた冨田勲:源氏物語幻想交響絵巻からの一貫した流れも感じ、好感を抱いた。

ここでステージ転換中に2階席でトラブル勃発!

おばちゃん「何であんたに、そんなこと言われんとあかんの!?」
おっさん「うるせぇ、ババァ。引きずりおろすぞ、帰れ!」

大声での応酬に周囲は騒然となり、ホールスタッフも飛んできた。暫くして事態は収集したようで次の演奏までに静かになったのだが、さすが大阪、ガラが悪い(良く言えば「庶民的」)。

2番手の飯森はスッキリ颯爽としたサン=サーンス。スタイリッシュで切れがあった。あとオルガンの音が良かった。ザ・シンフォニーホールに設置されているしょぼいパイプオルガンよりはるかにマシ。因みに僕は同曲をザ・シンフォニーホールでも聴いたことがある(大植英次/大フィル)。

外山の「火の鳥」は明晰で曖昧さが皆無。ただし遊び心がなく、四角四面で面白みに欠けることも確か。まぁこういった側面は秋山和慶の指揮にも見られることなのだけれど。オケの楽員から評価が高いことはよく知っているが、聴衆の立場から言わせてもらうと些か退屈なんだよね。現在僕は大響の定期会員だが、外山がミュージック・アドヴァイザーに就任する来期(2016年4月)からはやめるつもり。

ミッキーのベートーヴェンは16型の大編成で対向配置。ティンパニはクラシカルではなくモダン楽器を使用。テンポは作曲家が指定したメトロノーム記号に則し、速め。ヴィブラートは控え目だがノン・ヴィブラートというほど徹底したものではなく、モダンとピリオド・アプローチの中間=折衷案。はっきり言えば中途半端。小編成のオーケストラ・アンサンブル金沢を振る時のミッキーはもっとピリオド寄りに踏み込んだ解釈なので、なんだか聴いていてもどかしい。歯切れはいいが(カルロス・クライバー/ウィーン・フィルや映画「のだめカンタービレ最終楽章」における飯森範親のアプローチに比べると)躍動感がない。僕はそこにABの呪縛をひしひしと感じた。

ABとは「朝比奈(隆)のベートーヴェン」であり、「朝比奈のブルックナー」も含む。21世紀的新鮮な演奏をしようとするミッキーの意思は確かにあるのだが、一方で「朝比奈のオーケストラ」である大フィルの過去を否定することも出来ない。遠慮しているのだ。

結局、「伝統」という名の朝比奈隆の亡霊に囚われているという印象を払拭出来なかった(ただし終楽章のみは抑制が取り払われ、生気があった)。もういっその事、センチュリーと統合するなどして大フィルを一度ぶっ壊して、真っ白な(リセット)状態から再スタートした方がいいのではないか?僕は心底そう想う。

4つの在阪オケを連続して聴きはっきりしたのはまず弦の実力では大フィルがダントツ。管楽器が一番上手いのはセンチュリー。ただしホルンは大フィルの高橋首席がNo.1で、駄目なのが大響。大フィルとセンチュリーが一緒になれば、東京に負けない凄い実力のオーケストラが生まれるのになぁ……本当に惜しい。

総じて前半(関西フィル&センチュリー)の方が断然聴き応えがあった。

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これは必見!〜日本未公開映画「やさしい本泥棒」

映画「やさしい本泥棒」(The Book Thief)をどうしても観たいと想った切っ掛けは、本作でジョン・ウィリアムズが2013年のアカデミー賞で作曲賞にノミネートされたことである。公式サイトはこちら

The_book_thief

僕は小学生の時からジョン・ウィリアムズの大ファンで、彼が音楽を担当した映画のサントラは(地球上に存在するもの)全てを所有している。「おしゃれ泥棒」(1966)や「華麗なる週末」(1969)、「11人のカウボーイ」(1971)、「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)は無論のこと、テレビ・ドラマ「アルプスの少女ハイジ」(1968)とか「ジェーン・エア」(1970)なんてレア物も我が家のコレクションには揃っている。唯一残念なのはルチアーノ・パヴァロッティが主演し、アカデミー歌曲賞候補になった「イエス・ジョルジョ」がLPレコードしか持っていなくて、CDを買いそこねたこと(現在、当然廃盤)。悔しいので北米版DVDを近々入手する予定。閑話休題。で、本作はまず優しいピアノの旋律が印象的な音楽から大好きになったわけ。

日本では当初2014年6月に公開予定だったのだけれど、結局中止になり、いきなりビデオスルー(DVDスルー)になってしまった。しかも2015年1月7日にTSUTAYA DISCASなどでレンタル開始されただけで、発売はなし!20世紀フォックスのやり方には呆れ果てた。仕方がないのでTSUTAYAで借りて観た。ちなみにアカデミー賞で長編アニメーション部門にノミネートされた「ヒックとドラゴン2」もDVDスルーで、日本での劇場公開を求めてファンが熱心に署名運動を展開したが徒労に終わった。

「やさしい本泥棒」はナチス・ドイツ時代のドイツが舞台になっている。主人公は読書が大好きな少女。レイ・ブラッドベリの「華氏451度」を彷彿とさせる焚書の場面もある。「シャイン」でアカデミー主演男優賞を受賞したジェフリー・ラッシュ(「英国王のスピーチ」)やエミリー・ワトソン(「奇跡の海」「戦火の馬」)ら名優がその脇を固める(ふたりとも素晴らしい!)。

まず死神が語り部というのが新鮮で気に入ったし、主人公の少女の親友になるルディが金髪の可愛らしい少年でいい味出している。本作の寒々しく、そしてそこはかとなく物哀しい雰囲気が僕は凄く好きだ。ただ黒板に書く文字が本来ドイツ語でなければいけないのに、英語なのがいかにもハリウッド映画のご都合主義で、鼻白む側面があることも否定は出来ない。評価:B+

特典映像の中でジョン・ウィリアムズは「私がこの作品に魅了されたのは、『言葉は人を救う』というコンセプトです」と語っている。高齢のジョンは最近仕事をセーブしていて(現在83歳)、「ハリー・ポッター」や「スター・ウォーズ」シリーズ、そしてスピルバーグ作品以外を引き受けることは極めて異例である。それだけ何かシナリオの内容が琴線に触れるものがあったのだろう。

そして漸く、2015年6月3日に本作のブルーレイとDVDの発売が決まった。待ちかねたぞ!早速、Amazonでブルーレイを予約したのは言うまでもない。何度でも繰り返し観たい、愛おしい映画である。

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バッハ・コレギウム・ジャパン、音楽の捧げもの

3月26日(木)兵庫県立芸術文化センター 小ホールへ。

鈴木雅明(チェンバロ)、若松夏美(ヴァイオリン)、荒木優子(ヴァイオリン)、菅きよみ(フラウト・トラヴェルソ)、懸田貴嗣(チェロ)で、

  • チェンバロとヴァイオリンのためのソナタ ホ短調 BWV1016
  • チェンバロとフルートのためのソナタ ロ短調 BWV1030
  • 「われ天の高きところより来たりぬ」に基づくカノン風変奏曲
    BWV769a (アンサンブル版編曲 鈴木雅明)
  • 音楽の捧げもの

バロック・ヴァイオリンはいぶし銀の音。

フラウト・トラヴェルソ(バロック・フルート)は風が耳元でそっと呟くよう。

そして傑作「音楽の捧げもの」は峻厳と聳え立つ巨塔の如し。研ぎ澄まされ、一分の隙もない音楽に身が引き締まる想いがした。

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ゴダールの3D映画「さらば、愛の言葉よ」

フランスの巨匠ジャン=リュック・ゴダール監督が初めて3Dに挑んだ最新作。カンヌ国際映画祭 審査員特別賞および、全米批評家協会賞で作品賞を受賞。公式サイトはこちら。近所で2D上映していたが、わざわざ電車で30分掛けてシネ・リーブル梅田まで出かけ、3Dで鑑賞(+400円)。

一言、「退屈」。以上!

評価:D

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春のフランス便り〜阪哲朗/大阪交響楽団 定期

4月13日(月)、ザ・シンフォニーホールへ。

阪哲朗(ドイツ・バイエルン州レーゲンスブルク歌劇場音楽総監督)/大阪交響楽団の定期演奏会を聴く。

  • ルーセル:小管弦楽のためのコンセール
  • イベール:フルート協奏曲
    (独奏 高木綾子)
  • デュカス:交響曲 ハ長調

ルーセルの曲はリズミカルかつダイナミック、そしてエキゾチック。第2楽章は熱風でうだるよう。第3楽章は色彩豊か。20代前半に海軍に所属し、インドシナ近海に勤務した作曲家の面目躍如。

イベールの第1楽章は軽妙洒脱。第2楽章には翳りがあり、第3楽章はJazzyで華麗、弾けた音楽が展開される。独奏の高木綾子ジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクール第3位(工藤重典が第1回の第1位、2008年には上野星矢が第1位に輝いた)および現在神戸市が主催の打ち切りを検討し、存続の危機にある神戸国際フルート・コンクールで第3位(1989年にエマニュエル・パユが第1位、1997年にマチュー・デュフォーが第2位、ふたりは現在共にベルリン・フィルの首席奏者)という受賞歴を持つ。ブレス・コントロールが絶妙で、アンコールのシランクス(ドビュッシー作曲)はppが美しかった。いいね!

デュカスのシンフォニーは初めて聴いた。一言、カッケー!

大阪交響楽団定期は本当に珍しい曲を聴かせてくれるので愉しい。音楽監督の児玉宏さんが今シーズンを最後に勇退されるが、来期以降もこの攻めの姿勢を続けて欲しい。

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吉野の桜 2015

4月12日(日)奈良県吉野郡吉野町へ。関西に引っ越してきて4月に吉野を訪ねるのは11年連続となった。

今年は3月から4月にかけて「梅雨か!?」というくらいよく雨が降った。その間隙を縫って、ここしかないという快晴の日。ちょうど中千本から上千本にかけて満開だった(下千本は散り始め)。

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花吹雪が舞い、正に幻夢の世界であった。

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ペーター・フロール/大阪フィル 定期

3月20日(金)フェスティバルホールへ。

旧東ドイツ(ライプツィヒ)生まれの指揮者、ペーター・フロール/大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会を聴く。

  • ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
  • ドボルザーク:交響曲 第8番

独奏はドイツ出身のクララ=ジュミ・カン(ヴァイオリン)と中国生まれのジャン・ワン(チェロ)。

フロールは2008−2014の間マレーシア・フィルの音楽監督を務め、大植英次が急病でキャンセルした大フィル定期をピンチヒッターとして振っている(2007/2/22-23、曲目はモーツァルトの交響曲第40番とチャイコフスキーの悲愴)。

ブラームスのドッペルコンチェルトはチェロの美音に酔った。ドラマティックでオケも堂々とした風格があり、粘り強い。一方のヴァイオリンは印象が薄かった。チェロのアンコールはリズミカルに躍動するバッハ。

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後半のドヴォルザークは萌える草木を揺らす爽やかなボヘミアの風が感じられ、沸き立つ生命感に溢れている。流麗な第3楽章は音楽がうねる。音色・強弱のグラデーションが豊か。そして終楽章は内的エネルギーの爆発。人間も自然も生を謳歌する。今まで実演を聴いた中で、最高の名演だった。

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冨田勲 来阪!「源氏物語幻想交響絵巻」

4月3日(金)いずみホールへ。

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藤岡幸夫/関西フィルハーモニー管弦楽団

  • 冨田勲:源氏物語幻想交響絵巻 《2014年改訂版》

を聴く。京ことばの朗読と歌とびわ:坂田美子、琵琶:久保田晶子、箏(二十五弦箏):滝田美智子、龍笛・篠笛:西川浩平、篳篥:稲葉明徳、篳篥・笙:西原祐二、シンセサイザー:氏家克典

演奏の合間に作曲家と指揮者によるトーク(解説)あり。

第1部 第1曲「序の曲」(光源氏の誕生)冒頭は笛の鋭い響きに魅了された。竹林を通り抜ける風の音、桜吹雪。鳥の声も聴こえてくる。

第5曲「庭園」は和風モルダウといった感じ。箏の音色が心地よい。

第6曲「管弦のお遊び」は冨田勲が作曲したNHK「新日本紀行」のテーマを彷彿とさせた。

第9曲「美しい童女 若紫」は華麗な箏コンチェルト。鳥 vs. 鳥の歌合戦も愉しい。

第10曲「葵の上」は箏と琵琶の二重奏で始まり、それにシンセサイザーが絡む。

第11曲「六条の御息所」は嵐の予感(光源氏の正妻;葵の上 vs. 愛人;六条の御息所)。

第13曲「生霊」は照明を落とし怪談風。サラウンド音響の声とシンセサイザーの効果が絶大。

終曲(第2部 第9曲)はNHK大河ドラマ「新・平家物語」のテーマが使用されている。武家社会の到来を告げる勇ましい音楽で幕となった。

途中、”明珍火箸”(みょうちんひばし)がぶつかり合う音が、なんとも言えない摩訶不思議な雰囲気を醸し出す。

平均律による西洋の音楽(オーケストラ)と、中国伝来の三分損益法(≒ピタゴラス音律)による雅楽(異文化)の邂逅。そこにはなんの違和感もなく、美しい調和(ハーモニー)があった。

また京言葉の朗読が単なるナレーションでなく、音楽の一部として融和していることにも感銘を受けた。武満徹が作曲した、少女の語り手とオーケストラのための「系図 ―若い人たちのための音楽詩―( Family Tree )」のことを僕は想い出した。これは日本人独特の感性なのかも知れない。

雅(みやび)で儚く、もののあはれを感じさせる世界をたっぷり堪能した。是非また聴きたい。

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バードマン あるいは (映画で描く落語の世界)

アカデミー賞で作品賞、監督賞(アレハンドロ・G・イニャリトゥ)、脚本賞、撮影賞の4部門受賞。「バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の公式サイトはこちら

評価:A+

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ミドルエイジ・クライシス(英語ではMidlife Crisis)を描くコメディである。コメディだけど苦渋もあって、悲喜劇と言ったほうが相応しいかも。ちなみにドイツの思想家・批評家であるゴットホルト・エフライム・レッシング(1729-1781)は悲喜劇を「まじめさが笑いを誘い、痛さが喜びを誘う」感情の混合物と定義した。この定義って落語にも当てはまるよね。上方落語に登場する喜六と清八は大真面目なんだけれど、アホなことをして聴衆の笑いを誘うわけだ。

冒頭と終盤の数カットを除き、全篇があたかも「ワンカット」の長回しで撮られたかのようなエマニュエル・ルベツキの撮影が凄いのだが、主人公が人生という名の迷路を彷徨っているかのような印象を観客に与える。時に上昇し、下降するキャメラは彼の感情の浮き沈み(躁と鬱)を象徴している。主人公は自殺も考えていて、その道行(みちゆき)は上方落語「地獄八景亡者戯」のようでもある。また、かつてハリウッドで演じたアメコミヒーロー「バードマン」のキャラクターが彼の心象風景(内的対話)として登場するのは落語で言えば「天狗裁き」の天狗みたいなもの。そして最後に彼は「俺は飛べる!」と自信を持つのだが、これって立川談志が言うところの「人間の業(ごう)の肯定」だよね。つまり「バードマン」=落語なんだ。前例がないユニークな映画だけれど、強いて近い作品を挙げるなら川島雄三の「幕末太陽傳」じゃないかな?あるいは、フェデリコ・フェリーニ「8 1/2」の主人公を映画監督から役者に置き換えたものと言えるかも知れない(「8 1/2」のグイドも空を飛ぶ!)。

映画をワンカットで撮る手法はアルフレッド・ヒッチコック監督が「ロープ」(1948)で既に試みている。フィルムの1巻は10分から15分なので、繋ぎは人物の背中や背景を大写しにすることでフィルムを切り替えている。しかし現在はフィルムではなくデジタル撮影なので、無限に長回しが出来る。さらに途中で繋いでいる場合でもVFX(デジタル処理)により、あたかも繋ぎ目がないかのように見せることも可能だ。「バードマン」も途中で主人公が空中浮遊したり超能力を使ったりして、様々な趣向が凝らされている。あと大きな鏡の前での会話の場面で、当然キャメラやキャメラマンが鏡に写り込んでいるはずなのに消えているのもびっくりした。

マイケル・キートンは「バットマン」(1989)と「バットマン・リターンズ」(1992)で時の人となったが、その後鳴かず飛ばず。それが「バードマン」の主人公に被る。エマ・ストーン(顔がちっちゃい!目が大きい!)は「アメイジング・スパイダーマン」でヒロインを演じ、エドワード・ノートンは「インクレディブル・ハルク」に出演している。アメコミに縁がある役者を意識的に集めているのが面白い。

物語の舞台となるのはブロードウェイのセント・ジェームス劇場。僕は2001年8月末にここでトニー賞12部門を受賞したミュージカル「プロデューサーズ」(ネイサン・レイン、マシュー・ブロデリック主演)を観た。9 ・11同時多発テロ2週間前のことだった。セント・ジェームスの斜め前に、現在でも「オペラ座の怪人」を上演中のマジェスティック劇場が見える。何だか懐かしかった。1988年1月26日から上演されているので、もう27年目!30周年も目の前だ。

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ブロードウェイ・ミュージカル「タイタニック」

4月1日(水)シアター・ドラマシティへ。ミュージカル「タイタニック」大阪公演初日を観劇。

Tai

Titanic

本作は1997年にブロードウェイで初演され、その年のトニー賞ではミュージカル作品賞、脚本賞、楽曲賞、美術(装置デザイン)賞、編曲賞の5部門を受賞した。

台本はピーター・ストーン、作曲は「ファントム」「NINE」のモーリー・イェストン。今回の上演は2013年にロンドンで上演されたトム・サザーランドによる新演出版。公式サイトはこちら

ブロードウェイのオリジナル・プロダクションは一等客室と二等客室、三等客室それぞれの甲板が大掛かりな機構の中で上下するという巨大な装置が目玉のスペクタクル作品だったが、新演出版はあっけないほどシンプルな装置。出演者もオリジナルの30人が今回は22人に。ブロードウェイ版でカットされていたデュエット曲が復活したり、内容も見直しが施されている。

配役はアンドリュース(設計士):加藤和樹、イスメイ(オーナー):鈴木綜馬、機関士:藤岡正明、三等航海士:戸井勝海、ジム・ファレル(三等客):古川雄大、通信士:上口耕平、アリス・ビーン(二等客):シルビア・グラブ、アイダ・ストラウス(一等客):安寿ミラ、イシドール・ストラウス:佐山陽規、船長:光枝明彦ほか。元劇団四季(鈴木、光枝)、元宝塚(安寿)、元テニスの王子様(加藤、古川)、元マリウス@レ・ミゼ組(藤岡、戸井)など中々豪華キャストである。

正直、台本の出来は良くないと想った。群像劇で主人公がいない、いわゆる「グランド・ホテル形式」なんだけれど、その手法が古臭いんだよね。「タワーリング・インフェルノ」とか「大空港」「ポセイドン・アドベンチャー」など1970年代のパニック映画を想い出した。モーリー・イェストンはそのものズバリ「グランド・ホテル」もミュージカル化しているので、こういうのが好みなんだろう。

しかしイェストンの音楽は実に素晴らしい。特にタイタニック号が沈み始めて、救命ボートで恋人や家族が離れ離れになっていく場面の切実でダイナミックなアンサンブル(重唱)には心打たれた。

客席も船室の一部と見立てた演出は悪くなく、出演者が何度も通路を行き来するのは間近で役者が見れるので愉しい。ただもうちょっと凝った、豪華なセットでこの作品を味わいたかったという気も、一方ではするのである。まぁ巨大で複雑な舞台機構だと、(初演時の「ミス・サイゴン」みたいに)大阪公演は実現しなかっただろうけれど。

再演があるならまた是非観たい。

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堀米ゆず子/第4回「バッハ&ブラームス プロジェクト」

3月7日(土)兵庫県立芸術文化センターへ。

Kome

堀米ゆず子(ヴァイオリン)、児玉桃(ピアノ)その他で、

  • ブラームス:弦楽六重奏 第2番
  • ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番「雨の歌」
  • J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番

ブラームスのセクステットは一糸乱れぬ緊密なアンサンブルでよく歌い、情感豊か。

「雨の歌」は慎ましい抑制された感情と、迸るものの対比が鮮烈。聴き応えがあった。

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グラズノフの田園交響楽〜児玉宏/大阪交響楽団 定期

2月18日(水)ザ・シンフォニーホールへ。

児玉宏/大阪交響楽団の定期演奏会を聴く。ピアノ独奏は田部京子

  • ウォルトン:組曲「ヘンリー5世」
  • マルトゥッチ:ピアノ協奏曲 第1番
  • グラズノフ:交響曲第7番「田園」

児玉シェフらしい、一癖も二癖もあるプログラム。

「ヘンリー5世」はローレンス・オリヴィエ監督・主演の映画音楽である。第1曲「序曲、グローブ座」は重厚なファンファーレで始まり、一転して楽しい行進曲へ。第2曲「パッサカリア、ファルスタッフの死」は沈鬱で品がある。イギリスとフランスの戦闘を描く終曲は格調高い。Noble(気高い、高潔)なウォルトンの音楽を堪能した。

マルトゥッチは珍曲であり、恐らく田部がこれを弾くのは今回初めてなのではないかと思われるが、暗譜だったので驚いた。演奏はいいのだけれど、如何せん曲が冗長に感じられた。

マルトゥッチもそうだけれど、グラズノフ(1865-1936)の田園交響楽は初めて聴いた。そのオーケストレーションは色彩感に溢れ、リムスキー=コルサコフ的近代性が感じられる。考えてみたら教え子にショスタコーヴィチがいるのだから当然か。第1楽章は明らかにベートーヴェンの第6番を意識しており感興を呼び起こす。時にハーモニーはロマンティックな様相を呈する。ロシアらしく雪どけの春を連想させ、ひやっと身が引き締まる想いがした。宗教的コラールの第2楽章は見渡すかぎりの大氷原。ロシアの冬の厳しさが描かれる。第3楽章のスケルツォはちょっとブルックナー風?そして祝祭的な終楽章は賑やかに。これは大いに気に入った。

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児玉宏のブラームス〜大阪交響楽団 名曲コンサート

2月11日(祝)ザ・シンフォニーホールへ。児玉宏/大阪交響楽団による名曲コンサートを聴く。

  • ウェーバー:歌劇「オベロン」序曲
  • メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
  • ブラームス:交響曲 第2番

ヴァイオリン独奏は奥村愛

「オベロン」は弾むリズム、柔らかい音で妖精が飛び回る情景が目に浮かぶよう。

メンコンはテンポが遅く、ヴァイオリンに切れがない。線が細く、甘い砂糖菓子みたい。表面的な綺麗事という感じ。途中「何でここでテンポを落とす??」と、はてなマークが脳内を飛び交う。結局、奥村愛って美人であるということにしか存在価値がないんだと悟った。

ブラームスは筋肉質で、引き締まった4楽章が良かった。

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笑福亭たま「たまの微笑落語会」

3月16日(月)高津の富亭@高津神社へ。

  • 桂紋四郎:色事根問
  • 笑福亭たま:夢八
  • 笑福亭笑子:笑子ワールド(パペット)
  • 笑福亭たま:辻占茶屋
  • 笑福亭たま:代書

初めて聴く紋四郎。陽気な高座で滑舌がよく、リズミカル。上手い!

「夢八」は故・露の五郎兵衛が得意としたネタで、最近では桂雀々がしばしば演じる。たまは笑福亭の型で覚えたと。

今回この落語会に足を運んだ最大の目的は「辻占茶屋」を聴くこと。僕が初めて生の落語に接したのが8年前。それから何百席と上方落語を聴いていたが、「辻占茶屋」には一度も遭遇しなかったのである。米朝一門で演る人は多くないし、このネタを得意とする林家一門をあまり聴いてこなかったことが一因だろう。朝ドラ「ちりとてちん」で登場し、未聴なのがこれだけ残った。

いや〜良かった!下座(お囃子さん)との掛け合いが愉しいし、夜の四ツ橋の場面で遠近法が鮮やか。なんだか情景が目に浮かぶよう。

京大卒のエリート、笑福亭たま。嫌味な感じの代書屋がよく似合っていた。

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柳家喬太郎 × 笑福亭三喬「東西 笑いの喬演」

3月13日(金)エルセラーンホールへ。

  • 笑福亭生寿:つる
  • 柳家さん弥:臆病源兵衛
  • 柳家喬太郎:極道のつる
  • 笑福亭三喬:抜け雀
  • 笑福亭三喬:テレスコ
  • 柳家喬太郎:宮戸川(通し)

「テレスコ」は珍しいネタで愉しかった。

「宮戸川」は何度か聴いたことがあるが、全て前半のみで切られた型だった。後半部は今回初めて聴いた。凄絶で、これは一般向けではないなと感じられた。実際通しで語る演者は少ないらしい。その理由を考察してみた。

  1. 若い女性が集団レイプ殺人の被害者になる噺なので、女性客が多い現代の寄席には相応しくない(多分、男性客ばかりだった江戸時代や明治・大正なら問題なかったのだろう)。
  2. 夢オチというのが弱い(「夢金」「ねずみ穴」「天狗裁き」など落語には沢山あり、新鮮味がない)。
  3. サゲ「夢は小僧の使い」(諺「夢は五臓の疲れ」の地口落ち)が無理矢理過ぎる。面白くない。

後半で自分が犯した罪を語るくだり、喬太郎には狂気が感じられた。

殺人の場面は前屈みで演じ、赤毛氈からの反射光が顔に映えて凄みがあった。喬太郎のことだから、そこまで計算ずくなのだろう。

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映画「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」

評価:AAA+より上。最高はAAA

Imitation

米アカデミー賞は作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞など計8部門でノミネートされ、脚色賞を受賞した。映画公式サイトはこちら

監督に抜擢されたのはノルウェー出身のモルテン・ティルドゥム。

イギリスの数学者アラン・チューリングの生涯を描く実話。現在のコンピューターの基礎を築いた人だ。

ベネディクト・カンバーバッチが渾身の演技を披露。チューリングの甥はカンバーバッチについて「完璧なキャスティング。あれ以上にいい人は考えられない」と述べている。僕が初めて彼を意識して観たのが「裏切りのサーカス」で、その時も本作に出演しているマーク・ストロングと共演していた。

チューリングが逮捕される1952年から物語は始まる。そして第二次世界大戦の時代へ。更にそこからチューリングの少年時代に遡行し、この3つの時代が交差して織りなすタペストリーのような構成になっている。見事なシナリオだ。

チューリングが暗号解読マシーンに「クリストファー」とあだ名を付けた理由が次第に判明していくのだが、何だか切ない。”哀れ萌え”って感じかな。

モーツァルトやベートーヴェン、チャイコフスキーなんかもそうだけれど、天才が幸福な生涯を送れるとは限らない。人間という存在の理不尽さを改めて痛感させられた。そしてスティーブ・ジョブズを例に挙げるまでもなく、天才は変人が多い。社会適応能力がないというか、人格が破綻しているというか。Nobody's perfect.(完全な人間なんていない)〜ビリー・ワイルダー脚本・監督「お熱いのがお好き」より。 チューリングも強烈なキャラクターだった。いわば「面倒くさいひと」だ。

タイトルのThe Imitation Gameはチューリングの論文に由来し、人工知能が人間の脳を模倣していることを指しているが、実は映画を最後まで観るとこの言葉には3重、4重の意味が込められていることが判る仕掛けになっている(もし判らなければコメントで質問してください。きちんとお答えします)。

音楽は「グランド・ブタペスト・ホテル」でアカデミー作曲賞を受賞したアレクサンドル・デスプラ。やはり数学者や理論物理学者を主人公にした「ビューティフル・マインド」や「博士と彼女のセオリー」同様、短いフレーズを執拗に繰り返すオスティナート(≒ミニマル・ミュージック)技法が用いられている。

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