隠しテーマは【3・11】!!〜明日海りお主演 宝塚花組 レヴュー・ロマン「宝塚幻想曲(ファンタジア)」/ミュージカル「カリスタの海に抱かれて」
3月29日(日)宝塚大劇場へ。花組公演を鑑賞。
レヴュー・ロマン「宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)」の作・演出は稲葉太地。初体験だったが、スタイリッシュな人だと感じた。
ヘンリー・マンシーニの「シャレード」を「シング・シング・シング」風のビッグバンド・ジャズ・スタイルでアレンジしたり、津軽三味線で「さくら」を演奏、それに黒燕尾の男役が踊るという「異種格闘技」みたいな組み合わせが斬新。組子が太鼓を叩く中国風の場面で、ドヴォルザークの「新世界より」が響き渡るのにも意表を突かれた。選曲のセンスがいい。洗練されている。
花をテーマに四季折々の情景が描かれるのだが、夏の場面で舞台上には葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」風セットが登場。どうして海?と疑問に感じた。花と関係ないし。
しかし、蓮の花が咲く冬(=明らかに死のイメージ)を経て、東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」が歌われるに至り疑問が氷解した。本作の隠しテーマは【3・11】だったのだ!!だから津波に襲われ、それでも必ず春は巡ってくるのだという力強いメッセージが込められていたのである。やるな、稲葉太地。侮れない。
「カリスタの海に抱かれて」を執筆したのはテレビドラマ「ふたりっ子」「セカンドバージン」の脚本で有名な大石静。2011年宙組公演「美しき生涯」以来、2度目の描き下ろし。「寿美花代さんの時代から50年以上タカラヅカを見てきた」というだけに要所要所を的確に押さえており、大どんでん返しもあったりと達意の台本であった。独立運動がテーマとなると重い内容を想像しがちだが、以外なことに爽やかな作品に仕上がっていた。
演出は座付きの石田昌也。石田には全く期待していなかった。同期の谷正純と同様、手法が古臭いのである。《一旦幕を下ろし幕前で芝居→セットの場面転換→幕が上がる》の繰り返し。実に単調なのだ。ベルばらの植田紳爾もそうなのだが、如何にも《昭和の演出家》という感じ。今の時代にそぐわない。にも関わらず、飽きることなく愉しい時間を過ごせたのは台本の出来が良いからだろう。
娘役トップに抜擢された花乃まりあについて。歌は悪くないのだがどうも老け顔で、顔の表面積が彼女よりずっと背が高い明日海りおの1.5倍くらいあるのが気になった。ふたりのバランスが取れていないんだよね。またアニータ・ロッカ役の美穂圭子が見事な歌唱で観客を魅了した。あと若きナポレオン役の柚香光が最高のはまり役で可笑しかった。
SS席前から2列目で鑑賞。1列目に座っていた小学生の女の子が目の前まで来た明日海りおをウットリ眺めているのが印象的だった。また僕の隣りに座ったおばちゃんがどうも男役2番手・芹香斗亜のファンらしく、明日海のソロに拍手をしないし、彼女が銀橋を渡る場面でも俯いて無視していたので驚いた!女って怖い。
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