映画「博士と彼女のセオリー」
評価:A
エディ・レドメインがアカデミー主演男優賞を受賞。他に作品賞・主演女優賞・脚色賞・作曲賞にノミネートされた。公式サイトはこちら。
理論物理学者スティーヴン・ホーキング博士の伝記である。博士が筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患ったのはケンブリッジ大学在学中で、それまでは普通に自転車に乗ったり、ボート部でコックスをしていたという事実はこの映画で初めて知った。
博士の妻を演じるのはフェリシティ・ジョーンズ。つい先日「スター・ウォーズ」のスピンオフ"Rogue One"の主役に抜擢されたと報道された。それほど美人とは思わない。むしろ、アカデミー賞授賞式でエディ・レドメインの隣に座っていた奥さん=ハンナ・バグショー(イートン校に在学中のころ知り合ったそう。一般人)の方が断然美人だった。ただ映画で動いている彼女を観るとフェリシティってとってもチャーミングなんだ。Funny face(個性的で魅力のある顔立ち)って感じかな?
監督は「マン・オン・ワイヤー」でアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したジェームズ・マーシュ。ドラマ(劇映画)の演出も見事である。
兎に角、物語の展開に驚かされた。僕は物心ついてから今までに数千本の映画を観ているので、基本的にありとあらゆる「起承転結のパターン」は熟知しているつもりである。しかし、本作はどんどん僕の予想を裏切って進行する。まんまとしてやられた。博士は宇宙の始まりと終わりの謎が方程式で解けると考えているが、実のところ「人の心」は方程式や一定の法則で解くことが出来ない、実に不可解なものであるとこの映画は結論付けるのである。つまり原題"The Theory of Everything"は「そんなもの存在しないよ!あっかんべ〜」という反語なのだ。
理論物理学者の実話というと、数学者の実話を映画化しアカデミー作品賞・監督賞を受賞した「ビューティフル・マインド」を想い出すが、両者の結末はぜんぜん違う。ただ、音楽はどちらも短い音型を反復するオスティナート技法が用いられているのが面白い。その規則正しさが数列みたいなんだよね。
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