ミュージカル「モーツァルト!」2015
1月12日(祝)梅田芸術劇場へ。
ウィーン生まれのミュージカル「モーツァルト!」を観劇。
ダブルキャストだが、僕が観たのは山崎育三郎がタイトルロールを演じた。
前回観た時の感想は下記。詳しい作品解説も書いているのでご覧あれ。
僕は2002年の日本初演から今までに【ヴォルフガング:中川晃教、井上芳雄、山崎育三郎】、【コンスタンツェ:松たか子、西田ひかる、島袋寛子(SPEED)、平野綾】【ヴァルトシュテッテン男爵夫人:久世星佳、香寿たつき、涼風真世、春野寿美礼】で観たことになる。
山崎のヴォルフガングは歌が安定していて危なげがない。ただ、ベスト・キャストとしては「ロックンロールしている」という点で、僅差で中川晃教に軍配を上げる。
平野は顔が庶民的でルックスという点では松や西田に負けるが、ただモーツァルトの妻コンスタンツェという役どころは「あばずれ」なので、はまり役だと思う。彼女は歌唱が素晴らしく、歌に気持ちを込める才能を持っている。ヴァルトシュテッテン男爵夫人で僕が一番好きなのは香寿たつきだが、春野も毅然とした雰囲気があって悪くなかった。
モーツァルトの姉ナンネール役として初参加の花總まりは初演キャストの高橋由美子より断然歌が上手く、なにより気品がある。ナンネールのナンバーに感銘をうけたのは今回がはじめて。
完全無欠のミュージカル「エリザベート」に対して、「モーツァルト!」には瑕がある。ソロ・ナンバーがやたらと多く、構成が何だか緩い。しかし楽曲の完成度は高く、捨てがたい魅力があることも確か。
本作で描かれる主人公は「神の子」であり、彼の父やコロレド大司教、コンスタンツェの母らは彼を抑圧する存在である。ヴォルフガングはそれに抗い、自由を希求する。しかし一方で、彼には天賦の才能=神から与えられた使命があり、完全な自由を得られることは生涯ない。その逃れられない宿命を象徴する存在が彼の分身であり、一言も喋らない子役が演じるアマデ(と彼が持つ小箱)である。そういった作品の構造が漸く見えてきた。観れば観るほど味が出るスルメのような作品である。
| 固定リンク | 0
「舞台・ミュージカル」カテゴリの記事
- 木下晴香(主演)ミュージカル「アナスタシア」と、ユヴァル・ノア・ハラリ(著)「サピエンス全史」で提唱された〈認知革命〉について(2023.10.28)
- 石丸幹二・安蘭けい・井上芳雄 /ミュージカル「ラグタイム」待望の日本初演!(2023.10.15)
- 山崎育三郎(主演)ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」(2023.10.11)
- 柿澤勇人(主演)ミュージカル「ジキル&ハイド」(2023.07.27)
- 坂本昌行(主演)ミュージカル「ザ・ミュージック・マン」(2023.07.26)
コメント
雅哉 様
随分遅れてのコメント失礼します。
8日に観に行きました。初山崎ヴォルフです。井上ヴォルフとは又違ったある意味落ち着いた印象を受けました。
山崎君は顔に似合わず声が太いので、そう感じたかも…
ソニンコンスの投げた羽ペンを見つけられず、ピアノに隠した予備を使うアクシデント有りで、生の舞台は楽しいですね!!
花總さんのナンネールは、最初の可愛らしさにやられました。
やさしい中に強さのあるナンネール。
とても合っていると思いました。
病み上がりの市村さんが、本調子とは思えず残念。山口さんも歌い方変わってしまいましたね。キィ下げてたし…
モーツァルトは曲が大好きです。堀尾さんの美術も素晴らしい。
最初は過保護父に腹が立ちましたが、回を重ねるとどんどん作品も良く思えます。ほんとスルメですね。
楽しみにしていたエリザが帝劇だけになり、本当に残念ですが、今年も良い作品が目白押し。
沢山楽しみたいと思います。
投稿: *pino* | 2015年1月21日 (水) 17時18分
*pino*さん、コメントありがとうございます。「エリザベート」がたとえ今年帝劇だけでも、来年は梅芸に来るでしょう。何と言っても日本でこのミュージカルは宝塚から発信され、関西人は皆、花ちゃんエリザの復活を待望していたのですから!
投稿: 雅哉 | 2015年1月21日 (水) 17時54分