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成人指定〜柳家喬太郎独演会@大阪

11月29日(土)トリイホールへ。

今回は「R-18」噺、つまり成人向け落語会であった。喬太郎は昨年夏、鈴本演芸場@東京で夜の部のトリを努め、「夏のR-18」を披露したという。そもそもは青森の映画館で開催した三遊亭白鳥との二人会で「R-18」企画をしたのが発端だそう。

  • 桂ひろば/真田小僧
  • 柳家喬太郎/吉田御殿
  • 桂文三/植木屋娘
  • 柳家喬太郎/(江戸川乱歩 作)赤いへや

正直ひろばは本編(ネタ)よりも笑福亭たま/生喬/鶴志らから言われたことを披露したマクラの方が面白かった(←それってどうなん?)。詳しくは本人から「ブログやツイッターに書くな」と口止めされたので控える(ルールは守る)。

吉田御殿」には凄みを感じた。途中、男女の組んず解れつの描写に会場は爆笑。座布団の上で七転八倒する喬太郎の姿は往年の桂枝雀を彷彿とさせた。これってれっきとした古典(艶笑)落語で速記本から起こしたものらしい。

文三は師匠・(五代目)桂文枝が高座によく掛けていた「植木屋娘」を。屈託ない陽気なおやじを演じ、気持ちいい。ただし最後は枝雀版を踏襲し、サゲなし。この問題については下記記事で詳しく論じた。

僕としては”伝吉”という男の残酷さ、醜さが白日の下に曝されるオジリナル・バージョンで聴きたかった。だって折角「R-18」の会なのだし。

仲入りを挟みなんと「怪奇大作戦」の出囃子で登場した喬太郎、文三との共通点はウルトラマンが趣味ということ。東京では特撮のことだけ語る「セマイ落語研究会」というのもやっているという。「赤いへや」は意表を突いて古典落語「あくびの稽古(お江戸では「あくび指南」)」のクライマックスから始まり、実は噺家が主人公というメタフィクションに仕上げている。さすが天才だからこそ成せる離れ業。この語り部、人を死に追いやる(未必の故意で厳密に殺人とはいえない)ことが退屈しのぎであることが次第に明らかになるのだが、その内容が夢か現かにわかに判別出来ないという多層構造(いわば映画「インセプション」の手法)になっている。結局この男は映画「ダークナイト」のジョーカーみたいな存在で心の中が空っぽ、虚無なのだ。何をしても満たされないモンスター。背筋がゾクゾクっとした。

柳家喬太郎とクリストファー・ノーラン監督の意外な共通点を発見した、有意義な夜だった。

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