映画「宇宙戦艦ヤマト 2199 星巡る方舟」
評価:B+
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劇場版完全新作ではあるが、テレビ・シリーズの第24話と25話の間のエピソード、つまりイスカンダルから地球に帰還するまでの物語となっている。
絵コンテに実写版「進撃の巨人」監督の樋口真嗣、原画に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の庵野秀明(総監督)、摩砂雪(監督)が参加しているのが目を引く。愛だね、愛。
今回フィーチャーされるヒロインは言語学のエキスパート桐生美影。髪の毛が赤に近い茶色で、勝気なところは「新世紀エヴァンゲリオン」の惣流・アスカ・ラングレーを彷彿とさせる(新劇場版でのアスカの設定は金髪【ブロンド】に変更)。中々魅力的なキャラクターだ。
驚いたのはテレビ・シリーズのオリジナル・エピソードである第9話「時計仕掛けの虜囚」と第14話「魔女はささやく」が直接繋がっていたことと、ガミラス人と地球人のDNAが一致するという逸話が実は本作の伏線になっていたという点。予め周到に考えぬかれていたのだ。
物語の半ばで精神世界というか観念的・哲学的になるので戸惑う観客も少なくないだろう。いわば押井守の「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」や実相寺昭雄監督の「ウルトラセブン」を想起させる展開だ。「こんなのはヤマトじゃない!」とか賛否両論に分かれそうだが、僕は肯定する。だって戦闘シーンばかりだと飽きるじゃない?最後は「波動砲を使えない」という縛りを巧みに利用してド派手な肉弾戦/接近戦が用意されているし。十分満足した。
二等ガミラス人で冥王星前線基地司令官の娘ヒルデ・シュルツや、ヴォルフ・フラーケンに拾われ次元潜航艦UX-01の新入り乗組員となった機関士・藪助次がその後どうなったかとか、スターシャ・イスカンダルが古代守の子供を身ごもったらしいという設定など回収されていない伏線がまだまだ沢山残っているので、間違いなくこの続きはあるだろう。今から愉しみだ。
また旧シリーズで「さらば宇宙戦艦ヤマト」から加わる斉藤始(さいとうはじめ)が登場するのもニヤリとさせられる。ちなみに本シリーズには沖田十三(→総司)、土方竜(→歳三)、山崎奨(→烝)、山南修(→敬助)、芹沢虎鉄(→鴨)、新見薫 (→ 錦)、伊東真也(→甲子太郎)、徳川彦左衛門というふうに新選組に絡んだ名前が多数登場する(うち反乱分子も合致)。斉藤始も当然、新選組隊士・斎藤一に由来する。彼の今後の活躍が期待される。
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