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2014年10月14日 (火)

日本では稀な本格的ミュージカル映画「舞妓はレディ」

僕は世界初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」(1927)以降の、古今東西ありとあらゆるミュージカル映画を観てきたという自負がある。しかし黒澤・小津・溝口に代表される偉大な伝統を誇る日本映画においては、残念ながらこのジャンルは長年不毛だったと断じざるを得ない。僕が傑作だと手放しで褒められる和製ミュージカル映画はオペレッタ時代劇「鴛鴦歌合戦」(マキノ正博 監督、1939)ただ1本しかない(なんたってあの志村喬が歌う!その無類の愉しさときたら)。クレイジーキャッツの「ニッポン無責任時代」(1962)も名作だが、如何せん歌の数が少なく、セミ・ミュージカルとしか定義出来ない。近年では「愛と誠」(妻夫木聡、武井咲主演/三池崇史監督、2012)みたいな試みもあるが、お世辞にも出来が良いとは言い難い。アニメに関してもディズニー映画は「白雪姫」から「アナと雪の女王」までミュージカルを基本にしているが、日本での成功例は皆無だ。

だから周防正行監督の「舞妓はレディ」は日本映画としては実に70年以上ぶりの本格的ミュージカル映画の誕生であると手放しで賞賛したい。公式サイトはこちら。周防監督がミュージカル?という意外性はあるが、考えてみればハリウッドでリメイクもされた「Shall we ダンス?」はタイトルそのものからしてミュージカル「王様と私」のナンバーであった。ちなみに本作に出演している高嶋政宏は舞台「王様と私」で主役を演じている。また「Shall we ダンス?」から草刈民代、渡辺えり、竹中直人らが再結集しているのも嬉しい。

評価:A

Maiko

「マイコハレディ」という語感は言うまでもなく「マイ・フェア・レディ」のパロディである。言語学者が登場したりと物語も明らかに同ミュージカルを踏襲している。特に「マイ・フェア・レディ」の有名な歌、「スペインの雨は主に広野に降る」(The rain in Spain stays mainly in the plain. )が、「京都の雨はたいがい盆地に降る」に置き換えられているのには爆笑した。高嶋政宏の役どころはさしずめ「マイ・フェア・レディ」でトランシルヴァニア大使館の舞踏会シーンに登場し、「ヒギンズの弟子」を自称するハンガリーの言語学者に相当すると言えるだろう。

主人公の少女が鹿児島弁と津軽弁をごっちゃにして喋る(ハイブリッド)という設定が秀逸。本州の最南端と最北端という極端さが可笑しい。また舞妓のアルバイトという役柄でAKB48の武藤十夢(千葉県出身という設定)とSKE48の松井珠理奈(名古屋弁を喋る)が登場するのも愉しい。楽曲も良かった。

基本的にはコメディだが、舞妓という職業の暗黒面(ダーク・サイド)にもきちんと言及しており、抜かりがない。伏線の張り方も実に巧みで、ウェル・メイドな秀作である。

次の和製ミュージカル映画としては舞台「オケピ!」の実績がある三谷幸喜に期待したい。

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