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2014年10月17日 (金)

藤岡幸夫のシベリウス×萩原麻未のショパン〜関西フィル定期

10月10日(金)ザ・シンフォニーホールへ。

藤岡幸夫/関西フィルハーモニー管弦楽団

  • ショパン/ピアノ協奏曲第1番
  • シベリウス/レンミンカイネンの帰郷
  • シベリウス/交響曲第4番

ピアノ独奏は日本人として初めてジュネーヴ国際コンクール(ピアノ部門)で優勝した萩原麻未

ショパンのコンチェルトはオケが引き締まった音を奏で、ピアノは優しく柔らかなタッチ。繊細で夢見るよう。弱音が際立った美しさで、一音一音が煌めく。第2楽章はドビュッシー「月の光」を彷彿とさせる雰囲気を醸し出す。潤いと陰影のある魔法の響きにゾクゾクっとした。第3楽章ロンド、ヴィヴァーチェは動的でリズミカル。ピアノは時に激しく、弦には粘りがあった。

パリ国立高等音楽院を卒業し、現在もパリを拠点に活躍する萩原はやはりアルフレッド・コルトーとかサンソン・フランソワなどフランスのピアニストの系譜に位置するひとだなと思った。

アンコールはショパンの夜想曲第2番。静謐な花の香がした。

シベリウスの第4番について藤岡氏はプレトークで「浪費家で煙草と酒に溺れ、暴れて牢屋に入ったりとギラギラしていた青年シベリウスが咽頭腫瘍の告知を受け、精神的危機に陥った暗黒期に書かれた交響曲で、とっつきにくい。僕は若い頃この曲の良さが分からなかった。オーケストレーションは削ぎ落とされ、一音たりとも無駄がない。北欧の指揮者の間では『聖書』と呼ばれ神聖視されている」と語った。また第1楽章の「モデラート」は、作曲家の意図を汲み取ると「落ち着いて」という意味になるのだという。

第2楽章は歯切れよく、第3楽章のラルゴは深い森に彷徨い入ったかのよう。藤岡が師事した指揮者・渡邉暁雄はこれを自分の葬式で演奏して欲しいと語ったそうだ(まだデビュー前で、その願いを実現出来なかった)。そして第4楽章アレグロは生命力に満ち溢れた演奏であった。本物のシベリウスを聴いたという確かな手応えがあった。

僕はショパンのピアノ協奏曲第1番を聴くと否応なく福永武彦の青春小説「草の花」を想い出す。そしてよくよく考えてみると、シベリウスの「レンミンカイネンの帰還」と交響曲第4番は福永武彦の遺作「死の島」に登場し、小説の基板、ライトモティーフと表現しても過言ではないくらいの役割を果たしている。だから今回の関西フィル定期演奏会は図らずも福永武彦特集になっていたことに後になって気が付いた。行ってよかった。

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