バッハ・オルガン作品全曲演奏会 Vol.5「美しき短調、そして大フーガ」
7月4日(金)いずみホールへ。
フランスのオルガニスト、ダニエル・ロートの演奏でオール・バッハ・プログラム。
- プレリュードとフーガ ト短調 BWV535
- コラール「人はみな死すべきさだめ」
- 「アダムの堕落によりてことごとく腐れたり」
- 「汝、平和の君、主イエス・キリストよ」
- 「おお主なる神よ、汝の聖なる御言葉は」
- コラール・パルティータ「キリストよ、汝真昼の光」
- フーガ ハ短調 BWV574
(休憩) - ファンタジー ハ短調 BWV1121
- 「キリストは死の縄目につながれたり」
- 「キリストを われらさやけく頌め讃うべし」
- トリオ・ソナタ 第2番 ハ短調 BWV526
- 「来ませ、造り主なる聖霊の神よ」
- 「主イエス・キリストよ、われらを顧みて」
- 「われ汝に別れを告げん」
- ファンタジーとフーガ ト短調 BWV542
いずみホール音楽ディレクター・磯山雅さんとの対談でロートはバッハのオルガン曲は調性によって全く違う世界が広がる、特にト短調は劇的だと。
彼が創りだす音色は多彩で、摩訶不思議な光景が目の前に立ち現れる。その演奏はキリリとして決然と歩み、ゆるぎない。特にコラールはさながら万華鏡の如し。手廻し(ストリート)オルガンか、はたまたシンセサイザーか?といった音色にハッとさせられた。宇宙的荘厳さから素朴な信仰心まで、彼はオルガンから無限の可能性を引き出す。僕が連想したのはアンドレイ・タルコフスキーの「惑星ソラリス」だった(映画の中でバッハのオルガン曲も使用されている)。
プログラム最後の「ファンタジーとフーガ」は亡くなった先妻への追悼と、新婦を迎える歓びが表現されているという説があるという(会場からは笑いが起こった)。ファンタジーは威圧的で、どんどん音色が変化してゆく。これは紛れもなくバッハ最高傑作の一つだと想った。
アンコールはコラール「装いせよ、おお、魂よ」BWV654だった。
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