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2014年7月 8日 (火)

アルド・チッコリーニ with 大阪フィル 定期

6月26日(木)フェスティバルホールへ。

アルド・チッコリーニを迎え下野竜也/大阪フィルハーモニー交響楽団で、

  • ラヴェル/古風なメヌエット
  • サン=サーンス/ピアノ協奏曲 第5番「エジプト風」
  • ドビュッシー/前奏曲集 第1集 より ミンストレル
    (ソリスト・アンコール)
  • ブルックナー/序曲 ト短調
  • ヒンデミット/交響曲「画家マティス」

アルド・チッコリーニはイタリアのナポリ生まれ。フランス国籍を取得し、現在88歳。片手で杖を突き、下野にもう一方の手を引かれステージに登場。ヨボヨボの爺さんで「本当に大丈夫か?」と懸念した。しかしピアノに座った途端、まるで別人。強靭なタッチで明快、曖昧さは全くなく驚嘆した。洗練された響きには透明感があった。アンコールのドビュッシーもリズムに切れがあった。

メンデルスゾーンやサン=サーンスはその実力に比べ、過小評価されていると僕は考えている。サン=サーンスには「印象派」といった分かりやすいレッテルがないし、ベートーヴェンみたいに「苦悩を克服し歓喜へ!」といった明確な音楽的プロットも存在しない。ただ「美」への追求があるのみ。だから一般受けしないのだろう。

ブルックナーの序曲は交響曲を作曲する前の作品。後年彼の特徴となる弦のトレモロ(原始霧)ではなく、主和音の一撃で開始される手法は明らかにベートーヴェンの模倣である(「エグモント」序曲や交響曲第2番など)。あくまで習作の域を出ないが、多少は才能の萌芽も感じられた。

プログラム後半の「画家マティス」は有名な割に実演に接する機会が稀で、ありがたかった。第1楽章「天使の合奏」を経て、第2楽章「埋葬」は夜の音楽。終楽章の下野の指揮ぶりはエネルギッシュで聴き応えがあった。

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