アルテミス・カルテット
5月25日(日)兵庫県立芸術文化センターへ。
1970年に東京カルテットが優勝して以来25年間優勝者を出さなかったミュンヘン国際音楽コンクールにおいて96年にアルテミス・カルテットは第1位となった。しかし創立メンバーで残っているのはチェロのエッカート・ルンゲだけで、2012年には第1ヴァイオリン奏者としてラトヴィア出身のヴィネタ・サレイカを迎えた。ちなみにギドン・クレーメルも彼女と同郷である。
今回のプログラムは、
- ブラームス/弦楽四重奏曲 第1番
- クルターグ/小オフィチウム〜アンドレーエ・セルヴァンスキーを追悼して
- ベートーヴェン/弦楽四重奏曲 第14番
ブラームスの第1楽章は鋭利で怜悧な演奏。速攻で畳み掛け、知性のひらめきを感じさせる。第2楽章は囁くようで繊細。第3楽章の憂鬱なセレナーデを経て最終楽章は激しく感情が迸る。
現代ハンガリーの作曲家クルターグの作品は詰まらない。語る価値なし。
そしてベートーヴェンの最高傑作、深淵の森へ。研ぎ澄まされたpp。水も漏らさぬ緊密なアンサンブル。推進力がありグイグイ前へ。この作品は全7楽章で変奏曲の第4楽章を中心としてシンメトリーを形成している。揺るぎない構築性。第5楽章がスケルツォで第6楽章が緩徐楽章、そして終楽章がソナタ形式。これって通常の第3→第2→第1楽章に相当するよね。つまり逆走するんだ。アルテミスの演奏はスケルツォが小気味よく切れ味があり、終楽章は運命に抗うように決然と歩む。中身がギッシリ詰まった充実したパフォーマンスであった。
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