宮藤官九郎作「万獣こわい」
4/30(水)森ノ宮ピロティホールへ。
宮藤官九郎(クドカン)の最新作「万獣こわい」を観劇。「鈍獣」「印獣」に続く、演劇ユニット”ねずみの三銃士”-生瀬勝久・池田成志・古田新太による第三弾。今回のゲストは小池栄子・夏 帆・小松和重。演出は河原雅彦。
いわゆる北九州監禁殺人事件がこの物語のモデルになっている。監禁した被害者8人をマインドコントロールしお互いに虐待させたり、少女が唯一脱出して事件の重要証人となったのも同じ。それに連合赤軍のリンチ殺人や、死体をバラバラにして血抜きする桐野夏生(著)の傑作ミステリー「OUT」の要素も加味した作品に仕上がっている。
そんな陰惨なテーマをきっちりとコメディとして消化し、笑いの絶えない舞台作品に昇華しているのだからクドカンの才能恐るべし。また冒頭に落語「まんじゅうこわい」が高座で演じられ、落語のプロットが芝居に見事にリンクしていくその快感。やはり天才としか言い様がない。
ちなみにクドカンは落語家を主人公にしたテレビドラマ「タイガー&ドラゴン」を書いており、また彼がギターを担当するパンク・バンド「グループ魂」の持ち歌「東横線沿いに住みたいレズ」の歌詞(クドカン作詞)には「ざこば 南光 米朝師匠」が登場する。
恐怖や狂気は笑いと紙一重だということを実感させられた。悪意が煌めく空恐ろしい大傑作。これを観て確信したのはクドカンの才能は遥かに三谷幸喜を凌駕しているということだ(ちなみに僕は三谷が書いた芝居を20作品くらい観ている)。
最後に生瀬から舞台挨拶があった。「ねずみの三銃士、5年ぶりの新作です。その間にNHK『あまちゃん』で宮藤くんが全国区の人気者になりました。『あまちゃん』のイメージを期待して来られた方、ごめんなさい。いつもこんな感じです。僕が宮藤くんに代わって謝ります」会場が笑いに包まれたことは言うまでもない。
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