礼真琴主演(宝塚星組)/バウ・ミュージカル「かもめ」、そして歌劇団への苦言
5月29日(木)宝塚バウホールへ。
余りにも有名なチェーホフの戯曲「かもめ」を初ミュージカル化。脚本・演出は小柳 奈穂子。
まず困ったのはこの記事を書くために作曲家を調べようと想ったのだがチラシに名前はなく、公式HPを見ても載っていない。仕方ないのでインフォメーションセンターに電話をかけて、手島恭子だと教えてもらった。劇場で販売しているプログラムには記載されているそうだ。でもそれっておかしくない?仮にも宝塚「歌劇」を名乗り、「ミュージカル」と銘打っている公演である。音楽を蔑ろにしてどうする!?またこういう体質を当たり前のこととして放置しているファンにも問題がある。自分のご贔屓さえ見れれば、作曲家が誰であろうとどうでもいいのだろうか?情けない。
「かもめ」を観ている途中、「なんだかスティーヴン・ソンドハイムのミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック』に雰囲気が似ているな」と感じた。既視感(デジャヴ)である。「リトル・ナイト・ミュージック」はイングマール・ベルイマン監督のスウェーデン映画「夏の夜は三たび微笑む」(1955)が原作。ベルイマンはスウェーデン王立劇場で演劇の演出もしていた。「そうか!つまりベルイマンのシナリオそのものがチェーホフを意識して書かれたんだ!」ということに今初めて気が付いた次第である。
基本的に脚色はチェーホフの戯曲に忠実で、台詞もほぼそのまま。だから群集劇仕様で誰が主演ということなく礼真琴の影も薄かった。それにしても彼女の歌唱力・ダンス力は大したものだ。大いに感心した。バランスがとれた実力派という意味では香寿たつき、安蘭けい、蘭寿とむらに続くスターという感じ。特に幕切れの狂ったような激しいダンスは素晴らしかった。ここでは沢山のかもめが飛び立つ演出も見事で、相乗効果を上げていた。
トリゴーリンを演じた天寿光希も虚無的・厭世的雰囲気を醸し出しており実に魅力的だった。ただ大女優の母親役とか老人役とかは若いカンパニーなので、些か無理を感じたけどね。
総じてチェーホフのがっちりした構築性を崩さないために楽曲が少なめでミュージカルとしては物足りなかったが、音楽は心地良かったし4人の奏者による室内楽的生演奏はやはりソンドハイム的でとても気に入った。
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