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2014年5月13日 (火)

イリーナ・メジューエワが弾くJ.S.バッハ「ゴルトベルク変奏曲」

5月11日(日)兵庫県立芸術文化センターへ。

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ロシア生まれで日本(現在は京都)在住のピアニスト、イリーナ・メジューエワによるJ.S.バッハを聴いた。

  • イタリア協奏曲
  • 半音階的幻想曲とフーガ ニ短調
  • ゴルトベルク変奏曲
  • 「フランス組曲」からアルマンド(アンコール)

僕は中野振一郎や高田泰治の生演奏でゴルトベルク変奏曲を聴いたことがあるが、いずれもチェンバロだった(6月には曽根麻矢子でも聴く予定)。ピアノはこれが初体験となる。ピアノで有名なのは何と言ってもグレン・グールドだろう。「羊たちの沈黙」のレクター博士もこの演奏がお気に入りで、FBI捜査官クラリス・スターリングにCDの差し入れを頼み、獄中で聴いたりしている。また昨年カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した「そして父になる」にもグールドの弾くゴルトベルクが流れる(彼の鼻歌もはっきり聞こえる)。またグールドではないが細田守監督の傑作アニメーション「時をかける少女」にもピアノ演奏によるこの曲が使用されていた。

ちなみにグールドの録音は55年盤(モノラル)と81年版(ステレオ)があり、両者はテンポが全く異なる。有名なのはゆったりした後者だが、僕は快速球の55年版の方が好きだ。

さて、メジューエワはいつもどおり、修道女を思わせる全身黒尽くめで登場。彼女を見ていると、聖書の言葉「狭き門より入れ」を想い出す。

イタリア協奏曲は遅めのテンポで開始され、はっきりしたタッチで明快。ペダルはほとんど踏まない。ストイックだが、決して厳しくはない。ほのかに温かみがある。第3楽章は速く鮮やか。

半音階的幻想曲は嵐のようなトッカータ。途中からペダルをぐっと踏み込み、残響音が幻想的になる。そして凛としたフーガへ。涼やかな風が吹き抜ける。

休憩をはさみゴルトベルク変奏曲。端正でありながら、同時に弾むよう。敏捷な鹿のしなやかな跳躍を連想させた。今まで聴いたチェンバロ演奏よりも深い感銘を受け、バッハは楽器を問わないなと感じた。

最後に彼女は「今日は皆様、お越し下さりありがとうございました。アンコールにフランス組曲からアルマンドを演奏します」と流暢な日本語で語った。

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