ドヴォルザークの「自然と人生と愛」〜寺岡清高/大阪交響楽団 定期
4/24(木)ザ・シンフォニーホールへ。
寺岡清高/大阪交響楽団で、オール・ドヴォルザーク・プログラムを聴く。8割の入り。
副題で「マーラーとそのライヴァルたち」とあるが、実はマーラーもドヴォルザークと同じく現在のチェコ(ボヘミア地方)生まれなのである。マーラーは都会のウィーンに出たが、ドヴォルザークは生まれ故郷に留まった。その違いが音楽にどう出ているか、ということを探求するシリーズである。
- 序曲「自然の中で」
- 序曲「謝肉祭」
- 序曲「オセロー」
- 交響曲 第7番
前半は序曲三部作「自然と人生と愛」。ドイツ語圏では「自然三部作」とも呼ばれているそう。「自然の中で」の冒頭のテーマが後の2曲でも引用されており、連続で演奏されることが念頭に作曲されている。実際、1892の初演時にも3曲続けて披露された。
「謝肉祭」は比較的演奏される機会が多く僕自身生で数回聴いたが、他は全く初めて。ましてや、まとめて聴けるチャンスは希少価値と言えるだろう。
「自然の中で」は情感豊か。柔らかく、伸びやかな演奏で気持ちがいい。「謝肉祭」は人生の讃歌。寺岡はプレトークで「オセロー」にワーグナーからの影響を指摘していたが、確かに和音が「トリスタンとイゾルデ」を彷彿とさせる。また冒頭部は「新世界から」第2楽章に楽想が似ている。僕はこの三部作を「人類誕生以前の自然の姿」「人間の生」「その死」という風に感じた。連続して聴いて初めて分かることがある。その確かな手応えがあった。
後半は僕が大好きな第7番。プレトークでブラームス/交響曲 第3番との類似に言及されたが、そりゃ確かにそうだけれど、だからといってこの作品の価値が貶められるわけではないだろう。歌心とメリハリを兼ね備えた演奏。畳み掛ける終楽章は一糸乱れぬ緻密なアンサンブルが展開され、大いに満足した。
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