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2014年4月16日 (水)

大草原の小さな家

息子が生まれてから、(映画やテレビドラマの中で)将来彼に何を観せたらよいかをしばしば考えるようになった。そしてドラマで真っ先に頭に浮かんだのが「大草原の小さな家」である。

「大草原の小さな家」は1974年から82年までアメリカNBCの製作で9シーズンに渡り放送された。日本では75年からNHKで放送され、僕は小学生の頃に観ていた。

昔発売されたDVDは高価だったようだが、現在は例えばシーズン1(全24話)のバリューパック8枚組がAmazon.co.jpならなんと2,500円程度で手に入る。DVD 1枚が300円少々、1話(45-48分)に換算するとたった100円!あまりの安さにびっくりする。

Little

調べてみると「父さん」役のマイケル・ランドンは第1話の放送当時37歳で、「母さん」役のカレン・グラッスルが32歳。小学生で観た頃は遥か先をゆく頼もしい大人だと思っていたのに、いつの間にか僕が彼らの年齢を通り越してしまった。しかし今でも「父さん」は逞しく大きな包容力で見守ってくれるし、「母さん」は綺麗で優しく、凛として賢い。ふたりは理想の両親である。そして主人公ローラ役のメリッサ・ギルバートはそばかす顔の可愛い女の子で、姉メアリー役のメリッサ・スー・アンダーソンは中々の美人である。

あと驚いたのは、マイケル・ランドンがこのシリーズに出演するだけではなくエグゼクティブ・プロデューサー(製作総指揮)を務めていたこと。さらに初回のパイロット版「旅立ち」(「大草原の小さな家」特別版DVDに収録)では監督もこなしている。どうも各シーズンの第1話は必ず彼が監督していたようだ。ランドンが脚本・監督したシーズン1の「ローラの祈り」やシーズン2「町一番の金持ち」などは非常に感動的なエピソードである。こんな才能があったなんて全然知らなかった!また「ローラの祈り」には映画「マーティ」でアカデミー主演男優賞を受賞した名優アーネスト・ボーグナインが出演していることも特筆に値する。

古い作品なので画質がどうかと心配したが特に問題ない。同じシーズンでもフィルムの保存状態が違うのか、各回で色合い(褪せ具合)が異なるのはご愛嬌。懐かしい日本語吹き替えでも、日本語字幕付き英語版でも鑑賞可能。今まで吹き替え版しか知らなかったから、初めてインガルス一家の生声を聴いた。

本当に久しぶりに再開して感じたことは「Homeに戻ってきた!」という歓びと安堵感である。それは「風と共に去りぬ」でスカーレット・オハラがタラに帰った時の気持ちに似ている。この物語こそ、僕の原点なのだ。小学生で観たきりなのにパイロット版の映像も記憶に残っていて、我ながら驚いた。デヴィッド・ローズが作曲したテーマ曲も、何もかも皆懐かしい。今回聴き比べて分かったのだが各シーズンごとにオープニングとエンディング曲のアレンジが少しずつ異なるんだね。

放送開始から40年経った現在観ても、十分鑑賞に耐えうるし中身も色褪せていない。これは家族の物語であり、アメリカ開拓史としても面白い。あと倉本聰作の「北の国から」は明らかにこの作品をベースにしていることも判明した。実際、「北の国から」企画の段階から日本版「大草原の小さな家」を目指したとの証言もあり、Wikipediaにもそのことが記載されている。

今の小学生や中学生の子供達にも是非観てもらいたい。「わんぱくでもいい、たくましく育って欲しい(1970年代CMのキャッチコピー)」、そんな願いが込められた愛しい作品である。

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