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寺神戸亮×チョー・ソンヨンのバッハ

4/19(土)豊中市にあるノワ・アコルデ音楽アートサロンへ。

バロック・ヴァイオリン:寺神戸亮、チェンバロ:チョー・ソンヨンJ.S.バッハヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのためのソナタ全曲を聴いた。55席がほぼ満席。寺神戸はここに8回目の登場となる。

  • 第1番 ロ短調
  • 第2番 イ長調
  • 第3番 ホ長調
  • 第4番 ハ短調
  • 第5番 ヘ短調
  • 第6番 ト長調

当初の発表では第2・4番が割愛されていたが、「第4番の演奏はないんですか?」といった問い合わせがあり、急遽変更になったという。

全曲調性が違うというのが、「平均律クラヴィーア曲集」を作曲した大バッハらしい。寺神戸はプレトークで「それぞれの曲で全く性格が異なる」と語った。また「それまでチェンバロの右手は即興的に弾かれることが多かったのですが、バッハは右手の楽譜もきっちり書いた。左手が通奏低音の役割を果たし右手が第2声部。つまりこのソナタは恰も3声のトリオ・ソナタのような構成になっているのです」と。

寺神戸のヴァイオリンはしっとり落ち着いて潤いがある。村人の朴訥とした語り口を連想させる。バロック楽器の音色は雑味があっていぶし銀の味わい。

韓国・ソウルで音楽の勉強を始め、2年前にデン・ハーグ音楽院を最高得点で卒業したチョー・ソンヨンのタッチは強靭で腕が立つ奏者だ。寺神戸はラ・プティット・バンドと韓国に演奏旅行に行った際、まだ学生だった彼女と知り合い、その才能に感心したという。

バッハの「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」は「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」と比較すると、演奏頻度が高いとはいえない。しかしじっくり聴くとやはり当然ながら素晴らしい。

長調は人間の肯定と生きる歓びに満ち、宗教的厳しさはない。僕はリクエストで追加された第4番ハ短調が一番好きだ。仄かな哀しみと寂しさ、陰りがある。

なお車椅子に乗った痴呆老人が娘に付き添われて聴きに来ていた。その老婆が第5番演奏中に大声で喚きだして寺神戸は演奏を中断、「大丈夫ですか?」と声をかける事態に。

母親に良い音楽を生で聴かせたいという気持ちや、介護の疲れで憩いを求める気持ちは分からなくもない。しかし、その他の聴衆や演奏家に迷惑をかけてはいけない。どうして多くの音楽会が「未就学児童お断り」なのか今一度よく考えるべきだ。厳しいことを書くが、(一部の)老人というのはいわば乳幼児みたいなものなのだから。

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