ブラームスの後輩、ヘルマン・ゲッツ〜児玉宏/大阪交響楽団 定期
3月18日(火)ザ・シンフォニーホールへ。
児玉宏/大阪交響楽団で
- ヘルマン・ゲッツ/ピアノ協奏曲 第2番
- ブラームス/交響曲 第4番
ヘルマン・ゲッツはドイツの作曲家でブラームスより7つ年下。結核に罹患し、35歳で早逝した。
ピアノ協奏曲 第2番は伸びやかでロマンティック、どこかブラームス/ピアノ協奏曲 第2番を彷彿とさせる雰囲気がある。どちらも変ロ長調と調性が同じなのが興味深い。ゲッツの曲が作曲されたのが1867年、ブラームスのそれは1881年。ゲッツの死から5年経過していた。ゲッツはピアノ四重奏曲をブラームスに献呈しているし、ふたりの間には生涯友情関係があったという。つまりブラームスの第2番はゲッツへの追悼の意の表明ではなかったか?という推定も可能であろう。因みに彼の交響曲はシューマンへのオマージュになっている(ここでも調性が重要な役割を果たす)。
福間洸太朗のピアノはクリアなタッチでコロコロと指が動く。アンコールはショパン/別れの曲。これを聴くと僕は瞬時に18歳の自分に戻る。その年に大林宣彦監督の「さびしんぼう」に出会った。「別れの曲」を弾きながら富田靖子の横顔がふっと微笑む映画のラストシーン、そして尾道への旅、ロケ地巡りをしたこと、向島に渡る福本渡船に乗った想い出などが走馬灯のように一気に押し寄せた。
後半のブラームスはゆったりたっぷりした歌い出し。キレはなく、濡れた音色。第3楽章のスケルツォは生気があって小気味いい。第4楽章は重厚で荒波に揉まれるかのようであった。児玉はブルックナー指揮者として卓越しているが、ブラームスは今ひとつかな?と想った。
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