フルート・ライブ・セッション/クドウ・シゲノリ・ウインド・アンサンブル
3月21日(金)ザ・フェニックスホールへ。
工藤重典(フルート)、古部賢一(オーボエ)、赤坂達三(クラリネット)、吉田將(ファゴット)、日橋辰朗(ホルン)、長崎麻里香(ピアノ)で、
- モーツァルト(ロットラー編)/五重奏曲 第2番 ハ短調 K.406
- ベートーヴェン/セレナーデ ニ長調 作品41
(フルート&ピアノ) - ドビュッシー/「子供の領分」ゴリウォッグのケークウォーク
(木管五重奏) - フランセ/木管五重奏とピアノのための「恋人たちの時間」
- プーランク/六重奏曲
会場には大阪桐蔭高校吹奏楽部の生徒さんたちが大勢(20人位?)来ていて驚いた。若い頃から優れた室内楽を生で聴くのは良いことだ。
モーツァルトの原曲はフルートの入らない木管八重奏のために書かれ、後に弦楽五重奏にも編曲された。今回演奏されたフルートの入った編成には違和感があった。
ベートーヴェンのセレナーデは初めて聴いた。原曲はフルート、ヴァイオリン、ヴィオラのための三重奏曲で、後にフルートとピアノのデュオでも出版された。編曲に作曲家自身が関わったかどうかは不明だそう。実に魅力的な楽曲で明朗な知性、ひらめきがあった。長崎のピアノは敏捷で利発。フルートとの丁々発止のやり取りが快感だった。
ゴリウォッグのケークウォークの原曲はピアノだが、木管五重奏版もユーモラスな雰囲気が出ていた。解説を読んで今回初めて中間部に楽劇「トリスタンとイゾルデ」のパロディが登場することに気が付いた。洒落ている。ドビュッシーもワーグナーに関心があったんだね。因みに僕がこの曲に出会ったのは小学生の頃で、FMで放送された冨田勲のシンセサイザー編曲だったことを想い出した(1974年に発表されたアルバム「月の光」に収録)。
軽妙洒脱なフランセの楽曲。原題を直訳すると「羊飼いの時」だがフランス語でいうところのたそがれ時、恋人たちが夕闇に隠れることが出来る至福の時間というわけ。第1曲「枯れない二人」、第2曲「ピンナップ・ガール」、第3曲「せっかちな若者たち」=第2曲に登場した女の子を追いかける男の子たち。まるで艶笑コメディを観ているようなノリノリの演奏だった。
プログラム最後のプーランクは室内楽屈指の傑作で僕も大好きなのだが、これを演奏するために結成されたレ・ヴァン・フランセを生で聴いているので、実力の差を感じた。
日本の弦楽奏者は今や世界トップの実力にのし上がって来たけれど、管楽器奏者はまだまだだなと痛感した(弦高管低)。アンサンブルの乱れ、綻びが気になった。
ただ比べる相手が世界最高峰のプレイヤーたちなのでちょっと気の毒。日本人奏者の演奏としては十分愉しめた。
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