イタリア人の指揮するドイツ・オペラ~デスピノーサ/大フィル 定期
2月21日(金)ザ・シンフォニーホールへ。
1978年イタリアのパレルモで生まれた指揮者、ガエタノ・デスピノーサ/大阪フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会を聴く。
- ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」
~前奏曲と愛の死 - マーラー/交響曲 第4番
ソプラノ独唱はワルシャワ@ポーランド生まれのマグダレーナ・アンナ・ホフマン。
カルロ・マリア・ジュリーニ、クラウディオ・アバド、リッカルド・ムーティ、リッカルド・シャイーといったイタリア出身の指揮者に共通する特徴はロッシーニやヴェルディといったイタリア・オペラは得意だけれど、ワーグナーは滅多に振らない/あるいは苦手という点である。だからデスピノーサが大フィル初登場でワーグナーを取り上げるというのは異例と言える。
実は彼、ヴァイオリニストとしてキャリアを出発しており、2003-2008年の間ドレスデン国立歌劇場@ドイツでコンサートマスターを務めていた。つまり演奏家として頻繁にワーグナーを演奏していたわけだ。ここがユニークなところである。
「トリスタンとイゾルデ」前奏曲は振幅が大きく、波のうねりを感じさせる。オーケストラはたっぷりと歌う。マグダレーナ・アンナ・ホフマンは静かに歌い出し、やがて豊かな声量で聴衆を魅了。ワーグナーが紡ぎ出す、めくるめく官能の世界に陶酔した。
マーラーはゴムボールがはね飛ぶように弾力ある演奏。デスピノーサは積極的にテンポを動かし、自己主張する。英語でいえばanimate,イタリア語ならanimare=「生命を吹き込む、活気を与える」という言葉がピッタリの指揮者だ。
第4楽章でソプラノはオーケストラ後方、ティンパニの横に立った。弱音の美しさが際立つ。また歌のない箇所ではオケが激しく鳴り響いた。
聴き応えのあるワーグナーとマーラーだった。この新しい才能を見つけた歓びは、初めてポーランドのクシシュトフ・ウルバンスキやチェコのヤクブ・フルシャを聴いた時の驚きに匹敵するものがあった。
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