宮藤官九郎(作・演出)「高校中パニック!小激突!!」
1月17日(金)森ノ宮ピロティホールへ。
バカロックオペラバカ「高校中パニック!小激突!!」を観劇。作・演出はNHK朝ドラ「あまちゃん」で日本を席巻したクドカンこと宮藤官九郎。さらに役者として出演し、ギターも弾く(彼はパンク・ロック・バンド「グループ魂」のメンバーでもある)。じぇじぇじぇ!!!
クドカン作品との出会いや印象は下記に綴った。
まずタイトルについて考察しよう。1978年に石井聰互監督の映画「高校大パニック」が公開された。その2年前に製作された同名の伝説的8mm自主映画をリメイクしたもので、高校で銃撃戦が展開されるという内容。また1976年には深作欣二監督の「暴走パニック 大激突」が公開されている。激突車30台、炎上車20台というド派手なカー・アクション映画であった。つまり「『高校大パニック!大激突!!』と表現するほど大げさなものじゃないよ。まったり行こう」というクドカンからのメッセージなのだと僕は受け取った。
近未来の渋谷を舞台に、不良高校生たちの抗争を描く。ここでは小・中・高が6年・6年・8年制になっており、高校を卒業すると27歳になっているという設定。登場人物たちはいつまでたっても高校生のまま。彼らは「終わりなき日常」を生きている。僕は押井守監督の傑作「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」のことを想い出した。映画の主人公たちは「学園祭前日」が繰り返されるループの中に閉じ込められている。町から脱出することも出来ない。このアイディアは「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語」でも応用されている。
「高校中パニック!小激突!!」に大きなドラマはない。小ネタを連ねたような印象。「あまちゃん」でもお馴染みのクドカン節炸裂である。僕はそれで十分満足だ。すこぶる面白かった。特に「あまちゃん」ネタ「その火を飛び越えてこい」が飛び出したのには爆笑した(オリジナルは三島由紀夫の「潮騒」)。あと「JR森ノ宮駅のキオスクに行ってエロ本を買ってくる」というお題を映像で生中継するというアイディアが秀逸だった。さすがクドカン、ぶっ飛んでいる!!彼自身が永遠に劇場という空間でふざけ、じゃれ合い、遊び続けている高校生みたいな存在と言えるのではないだろうか?
音楽にはクドカンや、「氣志團」の綾小路翔ほか10人の名前がクレジットされている。
何より楽曲がバラエティに飛んでいる。パンク・ロック、バラード、ミュージカル風、70年代フォーク風、軍歌からアニソン(アニメ・ソング)まで。よくぞここまで変化球を投げられるなと、聴いてて飽きない。
出演は佐藤隆太、「あまちゃん」の”前髪クネ男”こと勝地涼、「グループ魂」のドラム担当・三宅弘城(動きにキレ、瞬発力がある)、「あまちゃん」の”磯野先生”こと皆川猿時、坂井真紀ほか。そしてプロの歌手、綾小路翔が全体を締める。
また”地下之チカ”(←多分”地下アイドル”が語源)役の川島海荷(うみか)が小さくて凄く可愛いなと思って調べてみると、実在するアイドル・グループ9nineのメンバーだそうだ。考えてみるとクドカンは以前からキャスティングする女の子の趣味がいいし、扱い方も上手い。例えば「あまちゃん」では能年玲奈、橋本愛、有村架純が大ブレイクした。
役者としてのクドカンは劇団「大人計画」の舞台で何度か観ているが、全て松尾スズキ作・演出だった。是非また彼の作・演出ものを観たい。そんなことどもを考えながら、高揚した気分のまま帰途に就いた。
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