石丸幹二、花總まり主演/ミュージカル「モンテ・クリスト伯」+爆笑アフタートークショー
1月4日(土)梅田芸術劇場へ。ミュージカル「モンテ・クリスト伯」を観劇。
脚本・作詞は「ルドルフ ザ・ラスト・キス」のジャック・マーフィ。音楽は「ジキル&ハイド」「シラノ」「スカーレット・ピンパーネル」のフランク・ワイルドホーン。演出は「ジキル&ハイド」「シラノ」の山田和也。
タイトルロールはドラマ「半沢直樹」に出演していた石丸幹二。僕は劇団四季時代の彼を「アスペクツ・オブ・ラブ」や「壁抜け男」(日本初演初日)で観ている。以前は声に張りがなく、なよなよした印象があったが、今回の歌唱は力強かった。
ヒロインを演じる花總まり(以下、「花ちゃん」と書く)を初めて観たのは1998年の宝塚宙組「エリザベート」。これが宝塚歌劇初観劇であった。彼女の退団公演「NEVER SAY GOODBY」(作曲はワイルドホーン)にも足を運んだ。そして僕は今宝塚に住んでいる。人生、分からないものだ。
しかしあれから15年以上経過しているのに、花ちゃんは変わらなかった。彼女はコスチューム・プレイを演じさせれば天下無敵だ。香り立つ気品。その立ち振舞、所作が美しい。特に歩くときのスカートの裾の捌き方など絶品である。ウットリ見入った。是非東宝「エリザベート」でもう一度彼女のタイトルロールが観たい!!
海賊役は濱田めぐみと彩吹真央のダブル・キャスト。濱田は劇団四季時代から大嫌いなので(肝心のところで1オクターブ下げて歌ったミュージカル「アイーダ」は最悪だった)、彩吹を選択した。
他に岡本健一、石川禅、坂元健児、村井國夫らベテランが脇を固め、充実していた。
ただ音楽は悪くないのに、作品としてどうしてこんなに薄っぺらい展開なのだろう??と疑問に感じた。
「モンテ・クリスト伯」はジェラール・ドパルデュー主演フランスのテレビ、ミニ・シリーズを観ている(上映時間6時間半。DVDあり)。波瀾万丈で起伏に富む展開である。それなのにあの面白い物語が、どうしてこんな陳腐なメロドラマに成り下がるのか?やはり台本の不備が一番の原因だろう。濡れ衣を着せられ投獄された男の復讐劇というのもソンドハイムのミュージカル「スウィーニー・トッド」の二番煎じだしね(主人公が名前を変えるのも同じ)。新鮮味がない。
それから楽曲の構成にも問題がある。ワイルドホーンの音楽は美しい旋律が散りばめられているが、二重唱→独唱の繰り返しで、平板で次第に飽きてくる。例えばミュージカル「レ・ミゼラブル」1幕フィナーレの"One Day More"は八重唱+合唱という極めて複雑でスケールが大きな音楽だ。ロイド=ウェバーの「オペラ座の怪人」には「プリマドンナ」という六重唱のナンバーがある。こういった凝った趣向が「モンテ・クリスト伯」にはない。盛り上がりに欠け単調なのだ。出来としては同じ作曲家の「シラノ」や「NEVER SAY GOODBY」レベルかな。
あと山田和也の演出も凡庸だった。普段、小池修一郎や宮本亜門の洗練された演出、スピード感溢れる舞台転換に慣れていると実に野暮ったい。
というわけで作品が不出来なので、ウエストエンド(ロンドン)やブロードウェイでの上演は難しい。ただ花ちゃんが素晴らしかったので、再演があればまた足を運ぶだろう。
アフタートークショーは花總まり、彩吹真央、石川禅が登場した。禅さんが花ちゃんにぜひ訊きたいと質問をぶつける。
「宝塚退団後初の本格的舞台出演ですが(注:「エリザベート」スペシャル・ガラ等はあった)、男優と共演してどう?」戸惑う花ちゃん。
「例えば宝塚と違って舞台で本当にキスするじゃない。どんな気持ちだった?」と畳み掛ける禅さん。
「最初は『どうしよう……』と思ったんですけど、一旦稽古が始まると無我夢中で『いっちゃえ!』って感じでした」
「稽古初日からまじチューだったよね。びっくりした」
「エッ、普通は違うんですか!?」
「稽古では寸止めが多いかな」
「知らなかった……。衝撃的。丸さんは私のことどう思ったんでしょう?大胆な女だと誤解されなかったかしら」と顔を赤らめる花ちゃん。
「いや、男優的には美味しいと思うよ」
爆笑ぶっちゃけトークに会場が大いに盛り上がったのは言うまでもない。司会者から大阪公演の感想を訊かれ、花ちゃんが「ホテルの窓から阪急電車が見えて、すごく懐かしかったです。胸がキュンとしました」と語ったのが印象的だった。
また禅さんによると、梅芸がまだ劇場飛天だった時代、天井のシャンデリアが休憩時間になると電動で降りてきたそう。その後消防法の改正により、出来なくなったとか。へぇ~、そんな時代もあったんだ。
- 安蘭けい(主演)ミュージカル「MITSUKO ~愛は国境を超えて~」
(フランク・ワイルドホーン 作曲、小池修一郎 台本・演出)
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コメント
1/3夜公演を観劇しました。アフタートークは元劇団四季の3人組。「君たち、確かライオンだったねえ」と石丸さんが……。初代ライオンたちが、こんなに大きくなって……と感慨深く観劇しました。
村井さんが良かったなあと思いました。まだまだ声がしっかり出ていて。
今日は宮藤官九郎観てきます!
投稿: ディズニーラブ | 2014年1月12日 (日) 08時41分
ディズニーラブさん、コメントありがとうございます。僕は1998年12月20日「ライオンキング」東京公演初日を観ているので、オリジナル・キャストを経験しています。
「モンテ・クリスト伯」はミュージカルとして今ひとつの出来だったと思われませんか?
クドカンの「高校中パニック!小激突!!」は1月17日(金)に観劇予定です。
投稿: 雅哉 | 2014年1月12日 (日) 13時22分
分析力が自分にはないので、どこがどうとかはわかりませんが、単調だったというのはわかります。
悪くはなかったとは思うのですが、再演されても行かないかな?(ただし、キャストにもよりますけど)
クドカン、楽しんできてくださいね。
投稿: ディズニーラブ | 2014年1月13日 (月) 20時44分
御返答ありがとうございます。
やはりその程度の作品ということですね。
投稿: 雅哉 | 2014年1月14日 (火) 08時24分