捻ったウィーンプログラム~下野竜也/大阪交響楽団 定期
ザ・シンフォニーホールへ。
下野竜也/大阪交響楽団による定期演奏会。前半が川久保賜紀をソリストに迎え、
- シェーンベルク/ヴァイオリン協奏曲
- パガニーニ/カンタービレ (ソリスト・アンコール)
後半はオール・スッペ・プログラムで変化球のニュー・イヤー・コンサート仕立て。
- 序曲「ウィーンの朝・昼・晩」
- 喜歌劇「快盗団」序曲
- 喜歌劇「美しいガラテア」序曲
- 喜歌劇「スペードの女王」序曲
- 喜歌劇「軽騎兵」序曲 (アンコール)
まずシェーンベルクのヴァイオリン協奏曲を生で聴ける機会は滅多にない。因みに日本で最も保守的な選曲をすることで知られる大阪フィルハーモニー交響楽団定期を調べてみると、(1947年に発足した関西交響楽団時代を含め)一度も取り上げられたことがない。
そして考えてみれば僕もそうだったが、日本のクラシック音楽ファンの99.9%は「軽騎兵」序曲以外のスッペの曲を生で聴いたことがない筈だ(大フィル定期でスッペが取り上げられたことは皆無である)。
客の入りは9割。マニアックな内容なのに集客に成功しているのはお見事としか言いようがない。
川久保賜紀はチャイコフスキー国際コンクールで1位なしの2位になったそう。サラサーテ国際ヴァイオリン・コンクールでは1位。彼女の奏でる音は線が細いが、研ぎ澄まされている。下野の指揮は拍子がはっきりしていて明晰な解釈。透明感があった。
僕は小学校4年生頃からクラシック音楽を聴き始めたが、当初はシェーンベルクやリゲティ、ペンデレツキなど十二音技法〜無調音楽を嫌悪していた。訳が分からないし、聴いていて不快。彼らが20世紀の音楽を駄目にしたと信じて疑わなかった。しかし慣れとは不思議なもので、今回ヴァイオリン協奏曲を聴いていて凄く面白かった。
20世紀に国家規模で行われた壮大な実験として共産主義革命が挙げられるだろう。結果は惨憺たる失敗に終わったが、無意味ではなかった。資本主義国家も彼らから刺激を受けて、社会福祉など社会保障制度が充実したのである。多分シェーンベルクが生み出した十二音技法もそういう実験だったのだと今では理解している。
そんな時代もあったねと/いつか話せる日がくるわ/あんな時代もあったねと/きっと笑って話せるわ
(中島みゆき「時代」)
その時は来たのだ。なお21世紀となった現代、調性音楽の復権が進んでいる。その潮流を代表する作曲家が吉松隆だ。
さて後半、スッペでは優美に歌い、軽やか。ウキウキしたリズム、テンポは目まぐるしく変化し、メリハリがある。
「快盗団」ではギターが登場。「美しいガラテア」のワルツは華やかで夢見るよう。曲目解説を読むとピグマリオンのお話なんだね。このギリシャ神話はジョージ・バーナード・ショーによる同名の戯曲となり、1913年に初演された。その「ピグマリオン」を原作としたミュージカルが「マイ・フェア・レディ」である。
「軽騎兵」序曲は」パンチが効いており、弦楽群によるハンガリー(ロマ)風旋律の強奏が印象的。
兎に角愉しい!スッペの魅力に開眼した一夜だった。
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