キャプテン・フィリップス
評価:A
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最初ソマリアの海賊に襲われた船長の話と聞いて全く興味がなかったし予告篇も詰まらなそうだった。しかし米国での評価が極めて高くアカデミー作品賞にもノミネートされるのではないかと専らの噂なので、半信半疑で観てみると手に汗握る展開で興奮した。
ポール・グリーングラス監督は「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」「ユナイテッド93」を観ているが、「キャプテン・フィリップス」は彼の最高傑作ではなかろうか?
前半はエロール・フリン主演の海賊映画みたいに冒険活劇のノリ。後半になると海軍特殊部隊SEALsが登場し、SWATの活躍を描いた映画「スピード」や「交渉人」を彷彿とさせる緊張の連続となる。実際、交渉人も出てくるし。つまり映画2本分の要素が盛り込まれているのだ。実話であるが映画の構造上は一級のエンターテイメント作品に仕上がっている。
(ケニアとエチオピアに国境を接する)ソマリア共和国の場面は粒子が荒くザラザラした16mmフィルムで撮影し、トム・ハンクスのアメリカ側は解像度が高く寒色系の35mmで撮影するというように画質に変化をつけているのが上手い。またソマリア側は手持ちカメラなので揺れが激しく、観客の不安感を煽る仕掛けになっている。
結論。映画「ホテル・ルワンダ」や「ブラッド・ダイアモンド」、「ナイロビの蜂」を観た時と同様に、「アフリカは地獄だ」ということ。
それにしてもエンディングのテロップで驚いたのは現実社会におけるフィリップス船長はこの事件の後、海上勤務に復帰したとのこと!いや、原作の印税や映画化の著作権料で一生楽して暮らせるだろうに……。やはり「ハート・ロッカー」の主人公が戦場でしか「生きている」という確かな感触を得られないように、船長も海の上にしか生の実感がないのだろうか?
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