柳家喬太郎独演会@トリイホール
11月2日(土)TORII HALLへ。
- 桂弥太郎/七度狐
- 柳家喬太郎/梅津忠兵衛 (小泉八雲 原作)
- 柳家小せん/夜鷹の野ざらし
- 柳家喬太郎/稲葉さんの大冒険 (三遊亭圓丈 作)
前座の弥太郎は特に狐の所作がまだまだだと思った。妖怪変化なんだから、もっと幽玄の雰囲気、妖気が欲しい。ふつー。
昨年辺りから喉の調子が悪く、お疲れモードに見えた喬太郎。今回は絶好調!元気溌剌だった。
曰く、学校寄席で青森県立弘前工業高校へ行った(日帰り)。「無理やり落語を聴かされて、彼らにとっては強姦されたようなもんですから……」と、ここでニコッとして「おっ、会場が引いていく音が聞こえましたよ。(噺家仲間がいる下座の方を向いて)今日のお客さんはこういうの駄目だってよ!」と大声で言う。「以上、業務連絡でした」さすが話術の達人である。
ある学校寄席で「初天神」を掛け、父親にみたらし団子をねだる子供を熱演していると、前の方の男子がボソッと「うるせぇよ」。自分の心が折れる音が聞こえたそう。また他の噺家の高座で「死神」の冒頭、借金で首が回らなくなった男が「いっそ死んでしまおうか」という件で、斜に構えて座っていた女子生徒が髪を指でクルクルしながらダルそうに「死ねば?」と言ったというエピソードも披露。
小泉八雲の怪談は不思議で独特な雰囲気があった(怖くはない)。へぇ、こういうのも落語になるんだ。新鮮。
小せんについては「貧相な落語家が登場しますから」と紹介。その小せんは気風がいい高座。
休憩を挟み再び喬太郎。先輩から稽古を付けてもらう=「噺を上げる」ことについて、「柳亭市馬師匠から教わったネタで噺を上げたのは一つもないんです。唯一例外は『てなもんや三度笠』の主題歌だけでした」と。
NHK朝ドラ「あまちゃん」を欠かさずブルーレイに録画しハマったことに触れ、落語芸術協会では高座における「じぇじぇ」禁止令が出たという噂が流れたと(事実ではなかったそう)。またカラオケに行くとドラマに登場するアメ横女学園の「暦の上ではディセンバー」を必ず歌うと、その場で披露。「『あまちゃん』の話題になると誰のファンかと必ず訊かれます。能年玲奈?小泉今日子(本物のキョンキョン。僕はニセ)?いやいや、僕らの世代ならやはり美保純でしょう!『ピンクのカーテン』ですよ」と(このマクラがネタにリンクしている)。
「稲葉さんの大冒険」は三遊亭圓丈が喬太郎の師匠・さん喬(本名:稲葉 稔)のために書いた新作だそう。ナンセンスでアナーキー、ぶっ飛んでいる。喬太郎の芸も爆発。物凄いものを観た。途中、桂枝雀演出「宿替え」へのオマージュもあり(僕は「口入屋」の膳棚を担ぐ場面を想い出した)。
弾けた高座で、心底愉しんだ。
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