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反転する物語~「魔法少女まどか☆マギカ」の魅力

これはTVシリーズと劇場版[新編]を観た人を想定した記事である。ネタバレ全開なので未見の方は要注意。なお、これから「魔法少女まどか☆マギカ」に出会おうという方はダイジェストの劇場版ではなく、TVシリーズ版からご覧になることを強くお勧めする。その方が間違いなく受ける衝撃が大きいからである。上質なミステリーを読んだ時に体験する「騙されることの快感/エクスタシー」がそこにはある。

では本題に入ろう。「まど☆マギ」はまず、魔法少女の活躍を描く明るい物語のように偽装して開始される。ところが第3話で魔法少女のひとり・巴マミが死亡退場し(それも頭を喰い千切られるという惨たらしさ!)、物語はダーク・ファンタジーへと一気に反転(=どんでん返しと言い換えてもいい)する。ダークなエンディング・アニメーション「Magia」もこの第3話から流され始める。

次に魔法少女が戦っている魔女とは、実はかつて魔法少女だった者の(絶望に身を委ねた末の)成れの果ての姿だということが明かされる。シェイクスピア「マクベス」に登場する魔女が言うところの「きれいはきたない、きたないはきれい」である。これも正に反転だ。魔法少女が持つアイテム「ソウルジェム」は魔女の「グリーフシード」に反転する。

そして魔法少女・暁美ほむらが時間遡行者だったことが判明した第10話で、今度はオープニング・テーマ「コネクト」がエンディング・テーマに反転される。ここで視聴者は何気なく聴き流していた「コネクト」の歌詞に隠されていた真相に気付き、愕然とするのである。実に鮮やかな手腕だ。

ほむらはタイムリープを繰り返すことで、まどかが《魔法少女→魔女》に転換する運命を覆そうと虚しい努力を繰り返してきた。そしてその都度挫折する。物語の最後にまどかアルティメットまどか女神まどか)となり、過去から未来にかけで少女たちが絶望から魔女に至る運命を断ち切り、彼女たちを《円環の理(えんかんのことわり)》へと導く運命に書き換える(=救済)。これも世界の反転である。

一方、劇場版「[新編]叛逆の物語」ほむらは魔法少女が《円環の理》へ導かれる新システムを拒絶(神を否定)。自らの意思で《悪魔》となり、自分が構築した世界にまどかを閉じ込めてしまう。つまり反転である。

このように虚淵 玄(うろぶちげん)が脚本を書いた「魔法少女まどか☆マギカ」は反転を繰り返すことで物語を推進し、観客を驚かし続けてきた。

僕は多分、もう一本劇場版が創られるだろうと考えている。またまた世界は反転され、遂にほむらが《円環の理》に導かれる時が来るのだろうか?また[新編]の台詞から想像するに、もしかするとほむらvs.まどかの壮絶なバトル・シーンが展開されるかもしれない。まぁ「まど☆マギ」の製作陣は常に観客の予想を裏切ってきたので、次も誰も思い付きもしなかった驚異の展開を期待したいものだ。

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