神尾真由子&ホーヴァル・ギムゼ@いずみホール
10月10日(木)いずみホールへ。
ヴァイオリン:神尾真由子、ピアノ:ホーヴァル・ギムゼ(ノルウェー出身)によるデュオ・リサイタルを聴いた。
- ラフマニノフ/ヴォカリーズ(ハイフェッツ編)
- プロコフィエフ/バレエ音楽「シンデレラ」より5つの小品(フィヒテンゴリツ編)
- メトネル/「2つのおとぎ話」Op.20より第1番(ハイフェッツ編)
- メトネル/ヴァイオリン・ソナタ 第1番
- プロコフィエフ/5つのメロディ
- プロコフィエフ/ヴァイオリン・ソナタ 第2番
今回のプログラムの特徴は2つ挙げられるだろう。
- 全てロシア(旧ソ連)の作曲家
- メトネルのソナタ以外は編曲もの
プロコフィエフ「5つのメロディ」の原曲は「5つの歌曲」(ヴォカリーズ=歌詞のない歌)であり、ヴァイオリン・ソナタ 第2番の原曲はフルート・ソナタ。これを聴いたオイストラッフの依頼で作曲家自身が編曲した。
神尾さんを生で聴くのはこれが6回目。チャイコフスキー国際コンクールで優勝した直後の彼女の演奏は攻撃的であり、魂の内面から燃え上がる炎が強烈だった。
最近結婚した彼女は落ち着いて柔らかい表情になり、演奏の方も角が取れてまろやかになった。白のドレスで登場。
ラフマニノフの「ヴォカリーズ」から成熟した音楽が展開された。従来からの特徴である野太い低音も健在。
「シンデレラ」には艶めかしらすら感じられ、躍動感があった。
メトネルには粘っこく濃厚なロマンティシズムがあった。時に優美で、ここぞという時には何かに駆り立てられるよう。雄弁な解釈。
プロコフィエフの音楽には怜悧で研ぎ澄まされた知性、簡素で硬質なモダニズムがある。そのソナタを神尾さんは物凄い集中力で挑み、吹き出そうとする炎を見事にコントロールしながらエレガントに弾き切った。圧巻のパフォーマンスであった。
アンコールは、
- ショスタコーヴィチ/映画「馬あぶ」よりロマンス
- リムスキー=コルサコフ/熊蜂の飛行(ハイフェッツ編)
- チャイコフスキー/「懐かしい土地の想い出」よりメロディ
ショスタコーヴィチは骨太、熊蜂は史上最速で軽やか、そしてチャイコフスキーは豊かな歌を聴かせてくれた。
終わってみれば21時15分。ロシア音楽を堪能した。
来年4月に井上道義/大阪フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会に登場することが決まっている神尾さん(現時点で演目未定)。是非関西でもコルンゴルトのコンチェルトを聴かせて下さい!ちなみにミッキーはコルンゴルトのオペラ「死の都」を演奏会形式で1996年に日本初演している(京都市交響楽団 定期)。
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