2回目の新演出版ミュージカル「レ・ミゼラブル」@フェスティバルホール
9月19日(木)フェスティバルホールへ。
新演出「レ・ミゼラブル」2回めの鑑賞。今回のキャストは下記。
別キャストによる前回の感想はこちらに書いた(オリジナル版との違いにも言及)。
ジャン・バルジャンを演じる吉原光夫は劇団四季時代に「ジーザス・クライスト=スーパースター」のユダを観ている。低音が魅力的。しかし逆に高音域は苦しいかな(特にソロ「彼を帰して」はキーが高いので)。この点においては先週観たキム・ジュンヒョンに軍配が上がる。吉原は冒頭で荒々しくバルジャンを演じ、獣性をむき出しにしているのが印象深かった。新鮮な解釈だ。
エポニーヌ:平野綾、ファンテーヌ:里アンナは情感豊かで劇的な歌唱が良かった。特にファンテーヌは今まで観た日本人キャストではベストかも。
コゼット:磯貝レイナはそこそこ。この役は純名里沙(1997-99)がダントツに良かった。未だに忘れ得ぬ記憶である。
マリウス:田村良太は優男で線が細く、この役のイメージにピッタリ!アンジョルラス:上原理生は背が高く見栄えがした。歌も○。
森公美子のマダム・テナルディエはもう何度も観ているが、歌は安心して聴けるし、肉体に迫力があるし文句なし。演技に余裕とユーモアがある。KENTAROのテナルディエもいかにもずる賢そうでタフな感じがして好印象だった。
あとガブローシュ少年を演じた鈴木知憲くん(12歳)の歌が上手くてびっくりした。是非また10年後に「レ・ミゼ」のカンパニーに戻ってきて欲しい。ちなみに1987年「レ・ミゼラブル」初演時にガブローシュを演じた山本耕史は2003年にマリウス役で返り咲いている。また現在マリウスを演じている原田優一も1994年にガブローシュを演じている。
演出に関して前回書き忘れたことを追記しておく。松明や蝋燭で本物の火を使っているのが良かった。特にマリウスが死んだ仲間のことを歌うソロ「カフェソング(Empty Chairs at Empty Tables)」で死者ひとりひとりがキャンドルを拾い、最後に吹き消す場面は切なくて心に残った。
今回改めて観劇し、「自由」とか「平等」といったものを獲得するために欧米の人達は長い年月を掛けて闘い、多くの血を流して来たんだなということをつくづく感じた。
それにしてもこのミュージカルを20年前に初めて観た時と比較して、オーケストラは明らかに上手くなったし(ホルンが音を外さなくなった)、カンパニー全体の歌のレベルも確実に向上している。日本のミュージカルは間違いなく進化している。頼もしい限りだ。
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