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大植英次/大阪フィル「永遠に語りつがれる愛の物語」~大阪クラシック2013

9月12日(木)大阪クラシックに足を運んだ。

《第67公演@中之島ダイビル》

ヴァイオリン:吉岡克典、浅野彩 ヴィオラ:糸川麗子(大阪交響楽団)で、

  • ドヴォルザーク/4つのロマンティックな小品 Op.75
    (弦楽三重奏のための《ミニアチュール》)から 第1番
  • ドヴォルザーク/ユーモレスク
  • ドヴォルザーク/テルツェット(三重奏曲) Op.74
  • モンティ/チャルダッシュ(アンコール)

4つのロマンティックな小品から第1番は五嶋龍がJR東日本のCMで弾いた曲。美しく、郷愁を感じさせる。

吉岡さんはドヴォルザークを「不細工な犬」のような顔と紹介。語りが面白い。さらにテルツェットは弦楽四重奏からチェロが欠けているので物足りなく、残念な曲。一瞬だけ綺麗なメロディーが出てくるが直ぐ元に戻ると。

でも、言うほど悪くなかった。珍しい曲が聴けるのも大阪クラシックの魅力だ。

《第69公演@中之島三井ビルディング》

ヴァイオリン:松田尚子、井上夕子 ヴィオラ:坂口雅秀 チェロ:森本耕太郎(大阪交響楽団)で、

  • シェーンベルク/弦楽四重奏曲 ニ長調

シェーンベルクは番号付きで弦楽四重奏曲を4曲作曲しているが、これはそれ以前の1897年に完成した作品。彼はチェロ弾きだったが、ツェムリンスキーの手ほどきを受けて22-3歳の時に作曲した。若書きなので12音技法ではもちろんなく、「らしくない」楽曲。第2楽章はヴィオラの歌がメロディアス。ところがチェロから始まる第3楽章変奏曲になると調性がたゆたい、揺らぐ。第4楽章アレグロープレストは非常にドヴォルザーク的。意外な人から影響を受けていたんだね。

《第71公演@ザ・シンフォニーホール》

大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団で、

  • チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」より終曲
  • ワーグナー/歌劇「ローエングリン」より結婚行進曲
  • ベルリオーズ/劇的交響曲「ロメオとジュリエット」より”ロメオただ一人”
  • ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲
  • バーンスタイン/交響舞曲「ウエストサイド物語」より”サムウェア”
  • チャイコフスキー/幻想的序曲「ロメオとジュリエット」
  • マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲(アンコール)
  • ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲(アンコール)

さらに、ミニ「星空コンサート」(追憶)として大植さんのピアノで、

  • チャイコフスキー/序曲「1812年」より
  • 星に願いを(ディズニー映画「ピノキオ」より)

びっしり満席。大植さんはベートーヴェンが交響曲第1番を初演した時に着ていたという燕尾服を肖像画から掘り起こし、特注したものを身にまとい登場。またベートーヴェン独特の髪型は蜂蜜と砂糖を混ぜたものをムースにして使用したと推定されるとお話された。

チャイコフスキーはカンタービレが魅力的。弦が水のたゆたう様子を表現。大植さんによると初演の時は最後に王子とオデット(白鳥)が湖に身を投げて死に、あの世で結ばれるという悲劇だったのに、1937年スターリン時代のソ連で無理やりハッピーエンドに変えられ、音楽も短調から長調に転調されたとのこと。またチャイコフスキーはワーグナー「ローエングリン」(白鳥の騎士)を鑑賞しており、その影響で「白鳥の湖」を作曲したと。余談だが「ローエングリン」の初演はフランツ・リストが指揮をしたそう。

続いてベルリオーズ”ロミオただ一人”の旋律がワーグナー「トリスタンとイゾルデ」に引用されていると解説あり。トリスタンの音楽は途切れることなく永遠に続くのではと感じさせるくらい息が長い。情感たっぷりで感情のうねりを感じさせる演奏。

1957年に「ウエストサイド物語」がブロードウェイで初演された時、パーカッションが沢山必要だったのでオーケストラ・ピットにヴィオラが入らず、ヴィオラ抜きの編成だった。だからシンフォニック・ダンス版の”サムウェア”でレニーはヴィオラ・ソロから始まることにこだわったのだそう。また大植さんは”サムウェア”の驚くべき誕生秘話についても教えて下さったのだが、これは門外不出と念を押されたので残念ながらここには書けない。

チャイコフスキー「ロミオとジュリエット」は熱く血がたぎるような演奏だった。

またエルガー「威風堂々」の原題 "Pomp and Circumstance"はシェイクスピア「オセロ」からの引用であるとか、「カヴァレリア・ルスティカーナ」は「田舎の騎士道」という意味だというお話もあった。

サービス精神旺盛で意義深いコンサートだった。ただ残念だったのは事前に告知されていたニーノ・ロータ作曲/映画「ロミオとジュリエット」の音楽が演奏されたなかったこと。大植さんが振るロータをすごく愉しみにしていたのに……。それとワーグナー「トリスタンとイゾルデ」がバーナード・ハーマンが作曲したアルフレッド・ヒッチコック監督の映画「めまい」の音楽(Scene d'amor;愛の情景)に繋がっているという所まで踏み込めば、更に面白いのにという気がした。むせるように官能的な「めまい」は僕の大好きな作品で、大フィルがいつか演奏してくれると嬉しいな。

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