トゥ・ザ・ワンダー
評価:B+
映画公式サイトはこちら。
テレンス・マリック監督作品の特徴を列挙してみよう。
- レフ板とか照明器具を用いず、自然光で撮る。
- 逆光が多く、太陽が画面に入ってくる。
- アカデミー撮影賞を受賞した「天国の日々」に顕著だが、マジック・アワー(太陽が沈んでから20分くらいの間)での撮影を好む。
- 会話よりも登場人物のモノローグ(独白)が多い。
- マリック自身が書く脚本は状況説明をしないので、しばしば観客は置いてきぼりを喰らい、途方に暮れる羽目になる。「ツリー・オブ・ライフ」がアカデミー作品賞にノミネートされた年、授賞式で司会のビリー・クリスタルが「アルフィー」の替え歌で"What's it all about, Malick?"(マリック監督、この映画一体どういう意味?全然分かんないよ)と歌い、会場は爆笑となった。
新作「トゥ・ザ・ワンダー」も上述した要素がすべて当てはまる。マリック節炸裂だ。
映画冒頭に登場するモン・サン=ミシェル@フランスの映像が驚異的に美しい!物語はいつもの調子で、あってなきが如し。マリックの映画は最初から理解することを諦め、詩として受け取るべきだろう。Don't think. FEEL !!!(by ブルース・リー「燃えよドラゴン」)だ。
僕は心地よい映画体験に酔ったが、撮影監督が同じエマニュエル・ルベツキなので、「ツリー・オブ・ライフ」と雰囲気が似ている感は否めない。二番煎じ。映像のクオリティは超弩級の高みにあるんだけどね。
あと「ノーカントリー」「それでも恋するバルセロナ」「スカイフォール」のハビエル・バルデムは好きなのだけれど、今回の苦悩する牧師役は似合ってなかった。それからベン・アフレックは殆ど台詞もなく、彼の持ち味が生かされていない。正直、誰が演じても同じだと想った。
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