宮崎駿「風立ちぬ」とモネの「日傘を差す女」
宮崎駿監督「風立ちぬ」のポスターになった場面はクロード・モネが描いた「日傘の女」へのオマージュであることは既に多くの人が指摘しており、今更言うまでもない。
そこでこの記事では「どうして、いきなりモネ!?」という疑問を解明すべく、考察してみたい。
まず「日傘の女性、モネ夫人と息子(日傘をさす女)」を見て下さい。
モデルは妻のカミーユと息子のジャン。描かれたのは1875年。その4年後にカミーユは32歳の若さで亡くなった。そして彼女は結核を患っていた。つまり「風立ちぬ」に繋がっているのだ!
カミーユの死後7年経過した1886年にモネは再び同じ題材の作品に取り組んでいる。それが下の二点である。
女の顔はぼんやりして見分けがつかなくなっている。あたかも黄泉の国からふと、現世に立ち現れたかのようだ。これはモネが夢で見た情景、幻想なのかも知れない。そういう意味において、やはり「風立ちぬ」ラストシーンの世界観を彷彿とさせる。
なお、最後の絵については女性の影がないと指摘する声もある。ただ僕は、光が右斜め前方から射しているので、影は左後方にあるんじゃないかと解釈しているのだが、皆さんはどうお考えになるだろうか?
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コメント
雅哉さん
初めまして。EROICAというペンネームの者です。ご存じとは思いますが、EROICAとは、ベートーヴェンの交響曲第3番の題名です。
私、モネのこの絵、特に下から2番目の腰のあたりに赤い花のようなものをつけてる絵が、大好きなのです。
顔が、はっきり描かれていなくて、私の好きな人の絵ととらえることも出来て・・・
この1枚が欲しくて、モネの画集を買ったこともあります。
その絵が、私が気に入っている『風立ちぬ』と関係があるなんて、初めて知りました。嬉しいです。
今後もよろしく。
投稿: EROICA | 2015年2月 3日 (火) 13時12分
EROICAさん、嬉しいいコメントをありがとうございます。
仰るとおり、下2枚の絵の女性はどちらも左腰に花を挿していますね。指摘されて初めて気が付きました!
これからもどうぞよろしくお願い致します。
投稿: 雅哉 | 2015年2月 3日 (火) 22時04分