奇跡のリンゴ
評価:A
映画公式サイトはこちら。
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも紹介された実話である。主人公:木村秋則氏も実在する(映画では阿部サダヲが演じた)。
監督は「アヒルと鴨のコインロッカー」「ゴールデンスランバー」など伊坂幸太郎とのコラボで知られる中村義洋。
とにかく壮絶な話で唖然とした。そして泣いた。無農薬でリンゴを栽培することがどれほど困難なことか初めて知ったし(非常に分かりやすく描かれている)、ある意味狂気を孕んでいると表現しても過言ではない主人公の行動に驚きつつも、不可能に挑戦する勇気こそ人間の偉大さなのだということも痛感させられた。ただただ脱帽である。
映画はアダムとイヴに始まり、リンゴがどういう経路を辿りヨーロッパから日本に伝わったかをアニメーションで描く。見事な導入部である。
主人公の幼少期はコメディ・タッチで描かれ笑わされるが、次第にシリアスな様相に変貌していく。その辺りの演出プランも巧みだ。
主人公の妻を演じる菅野美穂が素晴らしい。滲み出る夫婦愛が麗しく、生まれて初めて彼女をいいと想った。特に終盤の泣き笑いのような表情にはやられたね。今年の(個人的)主演女優賞、洋画は「華麗なるギャツビー」のキャリー ・ マリガンと早々に決めているが、邦画なら絶対に菅野美穂だ。
実は元々、僕はこの映画に興味がなかった。しかし観る気になったのは巨匠・久石譲が音楽を担当していたからである。しかも中村監督とは初仕事。「これはただならぬことが起こっている。久石さんの心を動かした何かがあるに違いない」とビビビときた。そしてその直感は間違っていなかった。「舟を編む」と並び、今年の日本映画を代表する一本である。
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