ドストエフスキー「罪と罰」→野田秀樹「贋作・罪と罰」→ミュージカル「天翔ける風に」
ドストエフスキーの小説「罪と罰」の舞台を帝政ロシアから幕末の江戸に置き換えたのが野田秀樹の戯曲「贋作・罪と罰」である。殺人を犯す主人公は男から女に変更された。1995年にNODA・MAP第2回公演として初演され、僕は松たか子、古田新太、段田安則、宇梶剛士らが出演した2005年の再演を観た。
これをミュージカル化したのが「天翔ける風に」である。音楽は玉麻尚一で演出・振付は謝珠栄。香寿たつき主演で初演されたのが2001年。今回が4回目の上演となり、朝海ひかる、石井一孝、彩乃かなみらが出演した。
6月30日(日)梅田芸術劇場での千秋楽を観劇。
優れた和製ミュージカルにお目にかかれる機会は滅多にないが、本作は数少ない例外である。まず何より野田秀樹の脚色が卓越している。「ええじゃないか」運動を取り入れたり、坂本龍馬が登場したりと、すこぶる面白い。海外に持っていけるクオリティだと想う。ただ、江戸時代なのに「1万円」とか「5千円」という台詞があるのには違和感があった。
朝海ひかるはとても美しく、翳りを帯びた彼女のキャラクターが役柄に合っている。
石井一孝は歌が上手いし、舞台映えがする容姿なので役柄にピッタリ。
彩乃かなみが演じた主人公の妹役は初演・伊東恵里の歌唱が素晴らしかっただけに、聴き劣りがした。
宝塚歌劇団・男役出身の謝珠栄の振り付けは女性とは信じられないくらいダイナミック。特に天地がひっくり返るような狂騒の第2幕は迫力があった。
全体として大変見応えのある作品で、とても満足した。
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