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2013年7月28日 (日)

モルゴーア・クァルテット/辺境の弦楽四重奏

6月26日(水)ザ・フェニックスホールにてモルゴーア・クァルテットを聴いた。東フィル、東京シティ・フィル、N響のメンバーらで構成され、ショスタコーヴィチ/弦楽四重奏曲を全曲演奏するシリーズなど20世紀以降の音楽に力を入れている。

  • シュニトケ/弦楽四重奏曲 第3番 (1983)
  • グバイドゥーリナ/弦楽四重奏曲 第3番 (1987)
  • シベリウス/弦楽四重奏曲「親愛なる声」

プログラムノートを作曲家・池辺晋一郎さんが執筆、キーワードは「辺境」の音楽だと書かれていたので、成る程と想った。シュニトケは旧ソ連のヴォルガ・ドイツ人自治共和国、グバイドゥーリナはソ連のタタールスタン自治共和国生まれ。シベリウスは言うまでもなくフィンランドだ。音楽の中心地といえば17世紀はヴィヴァルディ、コレッリを輩出したイタリア。18世紀はフランソワ・クープラン、ルクレールのフランスと大バッハのドイツ、そしてモーツァルトの生まれたオーストリア。19世紀もベートーヴェン以降ドイツ/オーストリア時代が続き、世紀末頃から印象派の隆盛でフランスが復活してくる。オペラの主流もドイツとイタリアが2分して来た。だから音楽的に見ればイギリスも「辺境」の地である。

シュニトケはノン・ヴィブラートで開始された。第2楽章が劇的でインパクトあり。

グバイドゥーリナは雨だれのような音が気持ちいい。ピチカートで弾(はじ)いた後に音程を変える手法が面白い。またヴァイオリンをマンドリンのように持って演奏する場面も。

シベリウスはメランコリックな曲調。モルゴーアは張りのある音で、緊密なアンサンブル。エモーショナルに強く聴衆に訴えかけてくる。低音が雄弁で音楽が引き締まる。何かに駆り立てられるような、鬼気迫る演奏であった。終楽章でチェロ(藤森亮一)の弦がブツン!と大きな音を立てて切れたが、最後まで弾き切った。

アンコールは、

  • ショスタコーヴィチ/弦楽四重奏曲 第10番 第4楽章
  • クレバノフ/弦楽四重奏のためのスケルツォ

ドミトロ・クレバノフ(1907-1987)はウクライナの「忘れられた作曲家」。スターリン時代の1940年代後半に巻き起こったジダーノフ批判(前衛芸術に対する圧政)により、作風の転向を余儀なくされた。活気ある曲ですごく良かった!

珍しい曲が並び、聴き応えのある演奏会であった。先日解散した東京クヮルテットより好きかも。

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コメント

雅哉さん、こんにちは。
私も、こちらのコンサートにご縁あってお邪魔していました!
クラシックには詳しくないのですが、最後のシベリウスは雅哉さんの記事にあった曲だ!と嬉しくなってしまいました。ラストスパートは藤森さんの弦が切れたのも相まってとても迫力のある演奏でしたね。
昨年のモルゴーアの演奏会も行ったのですが、キング・クリムゾンなどのプログレッシブロックの曲を演奏されていて、それもとても楽しかったです。

投稿: mai | 2013年7月29日 (月) 12時28分

maiさん、コメントありがとうございます!

シベリウスは心を鷲掴みにされましたね。僕は事前に3種類ほどの演奏をCDやナクソス・ミュージック・ライブラリーで予習していたのですが、生のモルゴーアが一番良かったです。彼らのプログレッシブ・ロックも是非聴いてみたいです。CD買おうかな。

投稿: 雅哉 | 2013年7月29日 (月) 21時56分

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