タリス・スコラーズ(ア・カペラ)@兵庫芸文
6月8日(土)兵庫県立芸術文化センターへ。
ピーター・フィリップス指揮タリス・スコラーズを聴く。ルネサンス期の教会音楽(無伴奏)を専門にするコーラス・グループで、男5人・女5人で構成されている。ただし、1人はカウンターテナー(アルト)なので、実質的には男声(テノール・バス)4・女声(ソプラノ・アルト)6ということになる。
今回は結成40周年記念ツアー〈ベスト・オヴ・タリス・スコラーズ〉と銘打たれており、彼らの代表曲ばかり聴けるという贅沢なプログラム。
曲目は、
- オルランドゥス・ラッスス/うるわしき救い主のみ母
- ジョスカン・デ・プレ/ミサ・パンジェ・リングヮ
- グレゴリオ・アレグリ/ミゼレーレ
- トマス・タリス/主よ、われらをあわれみたまえ
- ジョン・タヴナー/小羊
- トマス・ルイス・デ・ビクトリア/聖土曜日のためのエレミアの哀歌 第3部
- ウィリアム・バード/主よ、認めたまえ
透明感があり、聖なる響きに心洗われる想いがした。
ローマのシスティーナ礼拝堂で歌われ、楽譜が門外不出の秘曲だった「ミゼレーレ」を14歳だったモーツァルトが二度聴いただけで正確に採譜したというのは余りにも有名なエピソードである。僕が大好きな曲で、タリス・スコラーズのCDを繰り返し聴いている。ステージに5声部、1階席上手サイドに1人、2階席下手サイドに4声部のコーラスを配し、立体的音響に魅せられた。森の空気感、そこに差し込む木漏れ日の光などの情景が思い浮んだ。
ジョン・タヴナーは現代の作曲家。宗教曲でありながら、調性音楽から逸脱する面白さ。
今回一番気に入ったのが「聖土曜日のためのエレミアの哀歌」。兎に角美しい!
またアンコールで歌われた、アルヴォ・ペルトが作曲した静謐なアヴェ・マリアも素晴らしかった。
前半はバス・パートの声の調子が悪く掠れていて残念だったが、後半はコンディションが改善し、随分良くなった。
しかし、やはりこうした宗教音楽は2,000人も収容する大ホールではなく、教会のように小ぢんまりとした、残響が豊かな空間で聴きたいな。
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