映画「はじまりのみち」
こちらも併せてお読み下さい。
評価:B
木下惠介誕生100年記念映画。公式サイトはこちら。
アニメーションの世界で活躍してきた原恵一監督の実写映画第1作である。堅実な作品で出来はかなりいい。原監督の作品でA級の傑作といえばやっぱり「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」と「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」だろう。それらには及ばないが、少なくとも退屈な「河童のクゥと夏休み」や「カラフル」よりはマシ。そういう立ち位置である。
最初はテンポが悪い(間延びしている)と思いながら観ていたが、人間をじっくり描き最後は感銘を受けた。宮崎あおいをワン・ポイントで起用しているのだが、彼女が「二十四の瞳」の大石先生(高峰秀子)へのオマージュとして登場した時には涙が出た。子どもたちを数えたらしっかり12人!憎いね。あと「楢山節考」へのオマージュもある。
ただ些か不満なのはやはり、木下恵介がゲイであるという事実を避けたこと。作品の性格上仕方ないのかもしれないが、それでは木下作品の核心に迫ることは難しいだろう。例えば将来ペドロ・アルモドバル監督(「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥ・ハー」)の伝記映画を製作すると仮定して、彼がゲイであることを回避出来るだろうか?
便利屋を演じた濱田岳が素晴らしい。いい味出している。今年の助演男優賞有力候補ではないだろうか?また田中裕子の凛とした美しさも特筆に値する。素敵な年の重ね方をしているなぁと感心した。
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