チョン・キョンファ/ヴァイオリン・リサイタル@兵庫芸文
6月5日(水)兵庫県立芸術文化センターへ。
チョン・キョンファのヴァイオリン、ケヴィン・ケナーのピアノで、
- モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ 第35番 ト長調 K.379
- プロコフィエフ/ヴァイオリン・ソナタ 第1番
- バッハ/シャコンヌ
- フランク/ヴァイオリン・ソナタ
- シューベルト/ソナチネ 第1番 Op.137より (アンコール)
モーツァルトは甘くなく、ヴィブラートは抑え気味。しかし品位と潤いのある演奏。第2楽章は毅然として誇り高い。全体を通して速めのテンポで、第3楽章は軽やかに締め括られた。
プロコフィエフの第1楽章はピンと張り詰めた空気があり、第2楽章は厳しい表情で激しい演奏。第3楽章は幻夢的。月の夜の妖しさが漂う。第4楽章は才気煥発。迸るような歓びがあった。
バッハのシャコンヌは基本的にノン・ヴィブラート。要所要所ここぞという時にブルルン!と高速ヴィブラートが唸る。颯爽と吹く風が感じられ、ツルツルとした肌触りではなく木目の温もりがあった。
フランクはピンと背筋が伸びた演奏。第1楽章は貴婦人が午後の紅茶をゆったり飲んでいる情景が思い浮かぶ。周囲の風景は枯葉散る秋、凛とした空気感がある。第2楽章は研ぎ澄まされた音で突風が吹き荒れる。冬の到来だ。第3楽章はカンタービレで情熱や強い思いを訴えるかのよう。そして第4楽章は春の訪れ。木々は芽吹き、蕾が花開く情景が目の前にパァーッと広がった。
シューベルトは歌心に満ち、優しい表情が印象的だった。
チョン・キョンファの弟、チョン・ミョンフンの指揮は先日フェニーチェ歌劇場「オテロ」で聴いた。別のジャンルにおいて姉弟で世界一流の音楽家になるって凄いことだね。
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