市村正親、大竹しのぶ主演/戦慄の傑作ミュージカル「スウィーニー・トッド」
5月10日(金)シアターBRAVA !へ。スティーヴン・ソンドハイム作詞・作曲のミュージカル「スウィーニー・トッド」を観劇。
2007年、宮本亜門(振付・演出)による「スウィーニー・トッド」が幕を開けた。僕はその初演と2011年再演を観ている。これが3回目の鑑賞。
映画版の出来はとてもいいが、作品の肝となる「スウィーニー・トッドのバラード」がカットされたことが残念だった。
今回の配役は、
スウィーニー・トッド:市村正親
ミセス・ラヴェット:大竹しのぶ
女乞食:芳本美代子
アンソニー(水夫):柿澤勇人
ジョアンナ:高畑充希
タービン判事:安崎求
ビートル:斎藤暁
ドバイアス:武田真治
2007・2011年版は乞食女:キムラ緑子、ジョアンナ:ソニンで、アンソニー役は城田優→田代万里生だった。
8代目ピーター・パンを演じ、本公演でジョアンナに起用された高畑充希はもっと歌にビブラートを効かせて欲しかった。その方が”狂った”感じが出てこのミュージカルに相応しい。ソニンの役作りにはそれがあった。
市村さんは迫真の演技で壮絶だったし、大竹さんは決して歌が上手いとはいえないけれど、セリフを語りかけるような感じで音符に乗せ、お見事!1979年ブロードウェイ・オリジナルキャストのアンジェラ・ランズベリー(←DVDで観た)に決して引けを取らない、堂々としたパフォーマンスだった(同役で菊田一夫演劇賞受賞)。
劇団四季を退団した柿澤勇人(はやと)を観るのは実に3年ぶり。
相変わらずのイケメンぶりで歌唱力も文句なし。いい役者だ。
極めて充実したカンパニーだった。
さて、僕の考えるソンドハイム作品のベスト3は順不同で、
- スウィーニー・トッド
- Into the Woods
- 太平洋序曲
である、いずれも宮本亜門演出で観た。ベスト5なら次の2作を加えよう。
- カンパニー(山口祐一郎主演、小池修一郎演出、1999年)
- リトル・ナイト・ミュージック(麻実れい/細川俊之 主演、ジュリア・マッケンジー演出、1999年)
「スウィーニー・トッド」という作品の凄さは、例えばラヴェット夫人が人肉パイを思い付く場面の二重唱でワルツになるところ。またトッドが床屋の椅子に腰掛けたタービン判事の首を髪剃で掻き切ろうとする時に、二人が歌うのが「プリティ・ウーマン」。ソンドハイムが作曲した全作品の中でも、極めつけに美しいバラードである。つまり描かれている場面と曲調にギャップがある。その齟齬/意外性が驚くべき化学反応を生むのだ。天才にしか成し得ない離れ業と言えるだろう。
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