セバスティアン・マンツ(クラリネット)@大阪倶楽部
4月19日(金)大阪倶楽部へ。
セバスティアン・マンツ(クラリネット)、三輪 郁(ピアノ)のリサイタル。
- ウェーバー/「シルヴァーナ」の主題による7つの変奏曲
- ペンデレッキ/クラリネットとピアノのための3つのミニチュア
- シューマン/クラリネットとピアノのための幻想小曲集
- ストラヴィンスキー/クラリネット・ソロのための3つの小品
- ガーデ/クラリネットとピアノのための幻想小曲集
- ブラームス/クラリネット・ソナタ 第1番
- ミヨー/「スカラムーシュ」より”ブラジルの女” (アンコール)
- シュライナー/だんだん小さく (Immer Kleiner) (アンコール)
マンツは”滅多に1位を出さない”ことで有名なミュンヘン国際音楽コンクール・クラリネット部門で40年ぶりとなる第1位に輝いた。←40年ぶりって!?
その音は豊かで芯がある。また弱音が掠れたりしない。曲によって変幻自在な色を奏でる。
ウェーバーの変奏曲はピアノが独奏する箇所もあり、中々ユニーク。
ペンデレツキはポーランドの作曲家。マンツが「3つのミニチュア」を7年前に演奏した時、評論家から「まるで鳥小屋にいるようだ」と評されたとか。最初は「なんてことを言うんだ!」と呆れたが、翌々考えてみると確かにそんな曲だと思い直した。第1曲は朝~昼の鳥小屋の喧騒。第2曲は静かな夜。第3曲は明け方におじさんが入ってくる。逃げまわる鶏。しかし最後には捕まり、首を捻られ断末魔を叫ぶ。ペンデレツキってこんな面白い曲を書く人なんだ!と驚いた。
シューマンの幻想小曲集は柔らかく、まろやかな音色で開始される。ペンデレツキのクレイジーさとは好対照。第3曲では一転して情熱が迸る。
ストラヴィンスキーは無伴奏作品。
ガーデはシューマンの友人で、シューマンに憧れて幻想小曲集を書いたそう。シューマンは3曲で構成されているが、ガーデはそれにバラードを加え4曲とした。メロディが美しく和声が変化していくので、若い音楽家に人気があるそう。
ブラームスのクラリネット・ソナタは2曲あるが、マンツによると第2番はむしろヴィオラで演奏した方がいいとか。第1番 第1楽章 第1主題は寂しく嘆息するイメージを僕は持っていたが、マンツは力強く、激情の表現で朗々と吹いていた。まだ27歳の若い奏者だから、多分今はこれでいいのだろう。第2主題は弱音が繊細。終楽章は華麗だった。
ミヨーのスカラムーシュは二台のピアノ版、サックス+ピアノ版、そしてベニー・グッドマンの依頼で編曲されたクラリネット+オケ版、クラリネット+ピアノ版などがあるそう。「吹き鳴らす(blow)」感じが気持ちいい。サンバの強烈なリズム、シンコペーションが印象的。
「だんだん小さく」は演奏中にクラリネットの先端から徐々にパーツを切り離し、分解していくという面白い趣向。調べたところ、この逆で「クラリネットを作っちゃった。」(作曲:伊藤康英)という作品もあるらしい。
マンツは最初、一生懸命覚えた日本語で喋ったりして好青年だった。クラリネットという楽器の持つ多様性、その潜在能力がフルに発揮されたプログラムだった。
| 固定リンク | 0
「クラシックの悦楽」カテゴリの記事
- 武満徹「系図(ファミリー・トゥリー)-若い人たちのための音楽詩-」を初めて生で聴く。(佐渡裕/PACオケ)(2022.01.26)
- エマニュエル・パユ(フルート) & バンジャマン・アラール(チェンバロ) デュオ・リサイタル(2021.12.11)
- ミシェル・ブヴァール プロデュース「フランス・オルガン音楽の魅惑」Vol. 1(2021.12.10)
- 厳選 序曲・間奏曲・舞曲〜オペラから派生した管弦楽の名曲ベスト30はこれだ!(2021.09.17)
コメント