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なにわ《オーケストラル》ウィンズから考える、日本の吹奏楽の問題点

全日本吹奏楽連盟に所属するのは14,255団体(2012年10月1日現在)に及び、現役の吹奏楽人口だけでも100万人を超え、経験者を含めると500万人に達すると推定される。日本は「吹奏楽大国」なのである。ただこれは単に「経験者」が多いという意味であり、決して「聴衆」ではない。その観点から言えばクラシック音楽の聴き手の方が遥かに多いだろう。つまり「アマチュア演奏家」は育っているけれど、聴衆はそれに比例していない。中学や高校で吹奏楽部に所属していても、学校を卒業し離れると、その大半は吹奏楽を聴かなくなる。これこそが日本の吹奏楽界が抱える大きな問題点・矛盾である。

日本のプロ・オーケストラの奏者が年に一度集い、吹奏楽の祭典を開くなにわ《オーケストラル》ウィンズNOW)の演奏会に僕は毎年足を運んでいた。そのレビューは下記。

しかし今年はチケットを確保することが出来なかった。発売日に電話をし続けたが、30分後に繋がった時は既に完売だったのである。

ショックだった。6年間付き合った恋人から突然会うことを拒否されたような疎外感を感じた。何もかも嫌になった。

なにわ《オーケストラル》ウィンズ演奏会(大阪公演)の聴衆は9割以上が吹奏楽経験者である。僕自身そうだ。それ以外の一般聴衆にはチケットが入手し難く、吹奏楽関係者だけの、閉ざされた「内輪の」祭典になっている。

毎年、関西の中・高校の生徒が学校単位で10-20人まとまって聴きに来ているので、席には「学校枠」があるのだろう。また、僕が以前一般の吹奏楽団に所属していた時、団員にNOW奏者の知り合いがいて、その筋からチケットを予約できた。20人くらいまで大丈夫だった。つまり各奏者に割り当てられたチケットがあるものと思われる。

以前、一般の発売日にチケット・センターに並んだこともあった。その時は2階サイド席を購入したのだが、3列あるうち前の2列は最初から販売されていなかった。つまり事前に押さえられていたのだ。演奏会当日、そこには高校生の集団が座った。またチケット売り場で僕の直前に並んでいた人は一般吹奏楽団の代表者で、20枚単位で一括購入していた。

以上の情況証拠から判断すると、ザ・シンフォニーホール座席数1,704のうち、一般発売させるのはせいぜい800枚程度と推定される。しかも1人20枚と大量購入者もいるので、毎年30分で完売するのは無理からぬ事であろう。しかし関係者に配布された余剰チケットが戻ってくるので、当日券が50枚程度出る仕組みになっている。

淀川工科高等学校吹奏楽部顧問でNOWを毎年指揮されている丸谷明夫先生は次のような夢を常々語っていらっしゃる。

「吹奏楽の名曲、アルフレッド・リード作曲『アルメニアン・ダンス』がベートーヴェンの第九みたいに、子供からおじいちゃんおばあちゃんまで誰でも知っているような曲になって欲しい」

この夢が実現されるためには、NOW演奏会の客席が吹奏楽関係者だけで占められ自己完結するのではなく、もっと幅広い人々が気軽に聴けるようなものになるべきではないだろうか?まだまだ道は遠い。

いい潮時だろう。吹奏楽よ、さらば。

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