PACオーケストラ リサイタルシリーズ/フルート(前半)&ヴァイオリン(後半)
4月11日(木)兵庫県立芸術文化センターへ。兵庫芸術文化センター管弦楽団(PACオケ)団員による室内楽を聴く。なんと入場料500円ポッキリ!
まず前半はアイスランド出身で、オランダ・ハーグ王立音楽院でコンセルトヘボウ管の首席エミリー・バイノンに師事したメルコルカ・オラフスドッティア(フルート)。ピアノはロシアのヘレナ・バシロヴァで、
- ゴーベール/フルート・ソナタ 第3番
- 武満 徹/声(ヴォイス)
- 吉松 隆/「デジタルバード組曲」より”夕暮れの鳥”
- プロコフィエフ/フルート・ソナタ
- スヴェインソン/アイスランド民話劇“ディンマリン”より
間奏曲(アンコール)
兎に角、1933年に書かれたゴーベールのソナタにすっかり魅了された。泣きたくなるくらい綺麗なメロディ。春のそよ風を感じさせる。第2楽章「間奏曲、牧歌」は軽やかで透明感がある。一転して第3楽章は活発で、子どもたちがはしゃいでいるかのよう。演奏家が語ったことによると、彼女は昔からドビュッシーのフルートのための音楽が大好きだった。しかしソナタが残されていないのは大変残念に想っていた。初めてゴーベールのソナタを聴いたとき、「ドビュッシーがもし作曲していたら、こんな作品になったのではないか?」と衝撃を受けたとのこと。その気持、よく分かる!プーランクに続き、20世紀で2番めにランクされるべき傑作ソナタだった。
武満は人の声、息を吐く音も取り込んだユニークな作品。尺八的とも言える。気合の入った演奏だった。
吉松はミステリアス。
プロコフィエフは機知に富む。後にオイストラフからの依頼でヴァイオリン・ソナタ 第2番に改稿された。
休憩を挟み後半はソウル生まれでパリ国立高等音楽院で学んだリム・ホンキュン(ヴァイオリン)と法貴彩子(ピアノ)で、
- モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ 第18番 K.301
- ペルト/フラトレス ~ヴァイオリンとピアノのための~
- R. シュトラウス/ヴァイオリン・ソナタ
- ヴェチェイ:悲しきワルツ(アンコール)
このヴァイオリニストはヴィブラートが控えめで、清々しいモーツァルトだった。
ペルトのフラトレスは静謐で、昔から大好きな作品。様々な編成で10以上のバージョンが作られている。僕が聴いたことがあるのは独奏ヴァイオリン+弦楽合奏版、弦楽四重奏版、管楽八重奏+打楽器版など。「フラトレス」とはラテン語で「兄弟」を示し、信仰を同じくする仲間という意味も持つ。心が洗われるような、聖なる響きがした。
R. シュトラウスは華麗な音楽。豊穣な浪漫の香りがした。
アンコールで弾かれたフランツ・フォン・ヴェチェイはハンガリーのヴァイオリニスト/作曲家らしい。
両演奏家とも、大変珍しいマニアックなプログラムで大満足。音楽の世界は奥深いなと改めて想った。お値打ちのコンサートだった。
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