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2013年4月 3日 (水)

「宇宙戦艦ヤマト 2199」のすゝめ

4月7日(日)17時よりTBS系で放送されるアニメーション「宇宙戦艦ヤマト 2199」の公式サイトはこちら

僕がテレビで「宇宙戦艦ヤマト」を観ていたのは小学生の時だった。決して熱心なファンではなく、その後の劇場公開版も、キムタクが主演した実写版も一切観ていない。

しかし「宇宙戦艦ヤマト 2199」は「映画のブログ」で絶賛されていたので興味を持った。2013年にTV放送される1年前から徐々に先行劇場公開され、DVD & Blu-rayで発売開始されていたのである。そこでTSUTAYAでレンタルし、試しに観てみた。腰を抜かした。何たるクオリティの高さ!何たる面白さ!目が画面に釘付けになった。この1年間、次の巻が発売されるのがどれほど待ち遠しかったことか!

連続テレビアニメの製作現場は非常に悪条件であり、毎週30分の新作を放送局に納品しないといけないというのはとても苦しいことである。「未来少年コナン」で宮崎駿は途中、全て自分で絵コンテも演出もこなすことが困難となり、高畑勲らの手を借りた。庵野秀明監督「新世紀エヴァンゲリオン」テレビシリーズの末路が惨憺たるものだったのは御存知の通り。最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」なんて、物語ることを完全に放棄している。だから「宇宙戦艦ヤマト 2199」が放送開始1年前から製作をスタートするというのは理に適ったことであった。

まず作画が素晴らしい。21世紀の作品らしくCG技術も駆使しているが、セル画と見事に調和している。メカデザインも精密。新キャラクターが沢山登場するが違和感はない。森雪が色っぽいし、女性乗務員の宇宙服がエヴァのプラグスーツみたいでエロいんだ。岬百合亜(みさき ゆりあ)って”萌え”系キャラも配し、ヲタクのツボをしっかり抑えている。いいねぇ!古代進もイケメンになった。あとデスラー総統:山寺宏一の声には痺れるね(山寺さんは「新世紀エヴァンゲリオン」の加持リョウジ役でもお馴染み)。

兎に角、「宇宙戦艦ヤマト 2199」を観ていて一番感動するのは、このリメイクに携わる全スタッフの作品に対する””である。「最高のものを作って若い世代へ伝えよう」という気迫。それがビシバシ画面から伝わってくる。彼らの多くが子供の頃「宇宙戦艦ヤマト」を観て育った世代だと思われる。

例えばオープニングの絵コンテは「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明が担当している。庵野は中2の時、「宇宙戦艦ヤマト」本放送の第2話から見始めて夢中になったという(詳細は→こちら)。また第3話は平成ガメラ・シリーズの特技監督で、映画「ローレライ」「日本沈没」「巨神兵東京に現る」の監督としても知られる樋口真嗣が絵コンテを切っている。

オリジナル版の音楽は故・宮川泰が作曲していたが、新作を担当するのは息子の宮川彬良。当時の楽譜は散逸しており、「耳コピー」でスコアを完全に再現したという。ものすごい執念だ。そしてそこにあるのは当然、父親への敬愛の念であろう。

このように「宇宙戦艦ヤマト2199」は39年前に放送された「宇宙戦艦ヤマト」の子供たちによる、火傷しそうなくらい熱い作品なのである。

僕は第1話、第2話(第1章)を観た時、些か不満があった。それは宮川泰が作曲した主題歌のメロディーは登場するが、歌(作詞:阿久悠)がなかったからである。ところが、ヤマトが地球を発進しイスカンダルに向かった第3話冒頭、「さらば~地球よ~」とあたかもレクイエムのように静かに歌いだされて、鳥肌が立った!歌うのはオリジナル版と同じささきいさおだねぇ。

あとエンディングテーマ曲が大好きだった憂愁のバラード「真赤なスカーフ」(作詞:阿久悠)じゃなかったのも残念だった。ところがっ!!第7話「太陽圏に別れを告げて」で遂に登場したのである、あの「真赤なスカーフ」が!この「よき企み」には心底感動した。ここまで大切にとっておいたんだねぇ……(しみじみ)。

ただしDVD & Blu-ray版と、今回のテレビ放送版はオープニングテーマとエンディングテーマが異なるそうである。両者を見比べてみるのも一興だろう。

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コメント

愛ですね! この作品から伝わるのは。
これほど作り手の情熱と受け手の感動がシンクロする作品も珍しいのではないでしょうか。

地上波での放映で、この素晴らしい作品に触れる人がますます増えるかと思うとワクワクします。

投稿: ナドレック | 2013年4月 5日 (金) 01時06分

ナドレックさん、コメント有難うございます!

地上波のエンディング・テーマは中島みゆき(作詞・作曲)中島美嘉(歌)の楽曲になるようですが、少なくとも第7話「太陽圏に別れを告げて」の最後は「真っ赤なスカーフ」で締めくくって欲しいですね!

いずれにせよ、評判が愉しみです。

投稿: 雅哉 | 2013年4月 6日 (土) 12時54分

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