ビルボード提供「ヴィーナスクラシックス」~村治佳織(ギター)&マティアス・シュルツ(フルート)
3月3日(日)、兵庫県立芸術文化センターへ。村治佳織ギターリサイタル。
僕は1995年1月31日に広島郵便貯金ホールで彼女の演奏を聴いている。グイド・マリア・グイダ指揮イタリア国立放送交響楽団との共演で、カステルヌオーヴォ=テデスコ/ギター協奏曲 第1番だった。彼女が16歳の時だ。 華奢で可憐な少女だった。その頃から既に完成されたテクニックを持っていた。

今回のゲストは当初ウィーン・フィル首席ヴォルフガング・シュルツの予定だったが、彼は過去に心臓手術を受けており今回ドクター・ストップがかかり、息子のマティアス・シュルツ(ウィーン国立歌劇場フルート奏者)に交代した。
前半(ギター・ソロ)
- モンポウ/「コンポステラ組曲」より
プレリュード~コラール~ムニェイラ - ビー・ジーズ/愛はきらめきの中に
- 坂本龍一/プレリュード
- 坂本龍一/戦場のメリークリスマス
- ドメニコーニ/コユンババ
後半(フルートとのデュオ)
- バルトーク/ルーマニア民俗舞曲
- ピアソラ/「タンゴの歴史」より II. カフェ1930
- 武満徹/アルト・フルートとギターのための「海へ」
- フランセ/フルートとギターのためのソナタ
アンコール
- ピアソラ/「タンゴの歴史」より IV. 現代のコンサート
- スペイン民謡/禁じられた遊び(愛のロマンス)
スペイン北部・カタルーニャ州(カザルスの演奏で有名な「鳥の歌」はカタルーニャ民謡)出身の作曲家モンポウは囁くようなピアノ曲「秘密」が大好きだ。
今回初めて彼のギター作品を聴いた。繊細で優しく、慰めに満ちた音楽。たちまち魅了された。
坂本龍一は左翼的言動があれだけど、「八重の桜」も含めやはり作曲家としては天才だね。「プレリュード」は2011年東日本大震災の後、村治さんのために書かれた曲で、坂本がピアノ譜で書き、佐藤弘和 氏がギター用に編曲した。「戦場のメリークリスマス」も。元々、村治さんは吉永小百合から坂本を紹介されたそう。
カルロ・ドメニコーニ(1947- )はイタリアのギター奏者、作曲家。「コユンババ」はトルコに滞在した時の印象を書いたものだそう。調弦が全く異なるのでギターを替えて演奏。スペイン音楽とは異質で、技巧的な作品だった。
ピアソラの「タンゴの歴史」と武満の「海へ」はオリジナルの編成だが、この組み合わせに接する機会が滅多にないので、初めて生で聴けて嬉しかった。
「タンゴの歴史」は哀感漂い、愛おしい。「海へ」はアルト・フルートを尺八のように使っているのがユニーク。書かれた音符と音符の〈行間を読む(聴く)〉印象。
フランセは1912年に作曲されたという。小粋で愉しい音楽。
マティアスは音色・テクニックとも申し分なし。極めて選曲が優れた、満足度の高いコンサートだった。
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